古都であり、現在は商都でもあるミャンマー第2の都市・マンダレー。もう一つの顔は、北部随一の総合大学であるマンダレー大学を始め、工科大、医科大、外語大など多くの大学を擁する「学都」。IT関連の大学だけで3校あり、毎年1000人を上回る卒業生が新たに送り出される。

この「高度IT人材」を人手不足の日本のIT業界につなげようと、東京に本社があるIT企業「グローバルイノベーションコンサルティング株式会社」(GIC)は16年、子会社の「GICミャンマー」社(本社・ヤンゴン)の支店として、マンダレーに事務所を開設した。

現地で主に大学新卒の技術者を採用し、日本語教育を行ったうえで希望する社員を日本へ〝転勤〟させる。条件は「日本語能力試験N2合格」。日本の就労ビザは大卒以上が条件となる「技術ビザ」を取得し、社員であるうちは期限なく日本で働くことが可能になる。東京に異動したミャンマー人社員は、GIC本社でIT開発業務に当たるほか、日本国内のIT関連企業へ派遣され「バイリンガルIT人材」として活躍するシステムだ。

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真剣な表情で日本語の授業を受講する「GICミャンマー」社マンダレー支店の社員たち

住宅地にあるオフィスは、1階が日本から発注されたシステム開発などを行う「オフショア開発」業務スペース。2階は日本語教育の教室だ。受講している社員は大部分が女性。「ヤンゴンは会社を頻繁に移る『ジョブ・ホッピング』も多く、人材確保が難しくなっているのに比べ、マンダレーは就職先も少なく優秀な人が数多く残る。ヤンゴンほど海外志向は強くなく、日本へ行っても数年で家族のいるマンダレーに戻りたいという社員も多いのですが」と、マンダレー支店で日本語教師を務める藤原美和子さん=写真左

自身もIT技術者として東京で勤務した経験を持つGICミャンマー社ゼネラルマネージャー、トゥンリンタンジンさん(31)=写真右=は、「以前はミャンマーのIT技術者はシンガポールでの就職が第1希望だったが、ビザの制度が厳しくなり今は日本が一番人気」。同じくゼネラルマネージャーのスゥウェイトンさん(34)=写真中央=は、「採用試験の面接は、ITのスキルよりも、やる気や『日本の環境で仕事ができる人か』を見る。日本語ができる人にITを教えるよりも、理数系のアタマの人に日本語を教える方がよい。日本語は時間をかければ誰でも習得できる、との考え方です」

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入社試験は毎年10月、マンダレーとヤンゴンで「ジョブフェアー」として実施される。マンダレーでは今年、フェアーに約530人が参加し、このうち約230人がGICM社に応募。IQテストと数学の試験で40人に絞り、最終的には面接で18人を採用内定した。

現在、日本語N2試験へ向けた講座を受講している社員は、16年の試験で採用したマンダレー1期生だ。すでにN2に合格した社員もおり、この1月から順に日本へ転勤し、マンダレー出身のITエンジニア1期生として「東京デビュー」する。来春からは続々とその後を追っていく予定だ。【毎日アジアビジネス研究所・西尾英之、写真も】