シリーズ「中国商務熱点」⑤

人民日報の視点新型コロナウイルス患者治療専門病院

10日で完成した火神山医院

SARSの経験を基に

湖北省武漢市で、新型コロナウイルス感染による肺炎患者を治療する初の専門仮説病院である武漢火神山医院が完成し、2月2日に、正式に解放軍の湖北支援医療チームに引き渡された。敷地面積約5万平方メートル、総建築面積3万3900平方メートルの病院をわずか数日で完成させるというのは決してたやすいこととは言えない。

コロナウイルス感染拡大との、一刻の猶予も許されない戦いに、6000人以上の作業員が参加して24時間態勢で同病院を建設。大型機械や設備、車両約1000台が投入され、「中国の力」、「中国のスピード」が再び発揮された。=写真は治療に当たる中国人民解放軍から選出された医療スタッフ、撮影・張武軍

中国建築第三工程局有限公司の火神山医院プロジェクト技術グループ現場責任者の瀋氏は、「これほど大規模な病院の建設の場合、通常なら少なくとも1ヶ月はかかるが、今回はわずか10日間とその工期は非常に厳しかった。そのため作業員を2つのグループに分けて、交代で作業した。設計者は睡眠時間わずか2時間、徹夜で作業というのも当たり前だった」と説明する。

2003年にSARSが流行した際に対応に当たった医療専門家は、「実行不可能に見えるミッションの背後には、コロナウイルス感染拡大が極めて深刻な現状がある。指定医療機関のベッド数は増え続けているが、コロナウイルス感染の拡大速度に全く追い付いていない。SARSとの闘いの経験を基に、新型コロナウイルス感染による肺炎患者を専門に治療する病院を建設した。現有の病院の負担を大きく緩和し、院内感染を減らすことができるだろう。さらに重要なこととして、同病院の運営が始まれば、社会のパニック状態を緩和することもできるだろう」との見方を示す。

2003年4月、北京市に短期間のうちに病床数1000床を有する仮設病院「小湯山医院」が建設され、2ヶ月の間に、中国全土のSARS患者の7分の1を収容した。そして、治療とケアに関与した医療スタッフは1人も感染しなかったという人類医学史上の「奇跡」を起こした。

厳重なエリアごとの隔離

伝染病専門病院として、部屋の配置の構造から下水管に至るまで、さまざまな部分で非常にシビアに感染防止対策が講じられた。火神山医院は、そんな小湯山医院という「偉大なる基礎」の上にたち、設計・建設された。同病院は主に、感染が確認された患者の治療に当たり、病床数は1000床。集中治療室(ICU)、重症者病棟、一般病棟のほか、感染予防管理や検査、特定疾病診察、放射線診断などの補助部門も設置されている。

院内感染を回避するため、それぞれのエリアがしっかりと隔離することで、医療スタッフの健康と、安全を守る最大限の努力が払われている。

各病室は地面から30センチ離れた高さで建設されており、各病室にトイレが設置されている。ほとんどの病室は、外より気圧が低い陰圧室となっており、室内の空気や細菌が外部に流出して院内感染を引き起こさないようにするなど、病室全体を「マスク」で覆った構造となっている。

汚水を集中処理

汚水は集中処理される。同病院には、雨水や汚水の処理システム、換気システムが設置されており、消毒・殺菌、濾過処理により、基準に到達させてから排出される。また、高密度ポリエチレンが、病院全体5万平方メートルにわたって敷設され、汚染物質が土壌や水域に流出することがないよう設計されている。

火神山医院の建設状況がネット上でライブ配信され、ネットユーザー数千万人が視聴した。建設現場が、数千万人が見守る注目の的となるというのは、前代未聞のことだ。ネット上では、「これは単なる建設現場のライブ配信ではなく、コロナウイルスとの闘いにおける希望をもたらしてくれる。少しでも早く完成することをみんな願っている」といったコメントが、毎日のように寄せられていた。=写真は24時間態勢で建設された火神山病院、撮影・張武軍

24時間態勢で建設された火神山病院、撮影・張武軍

ある海外のネットユーザーは、「昼夜問わずユンボの大軍、作業員が働き、武漢に次々に物資が輸送されている。国全体が闘いの準備を進めており、その速度は驚くべきものだ」とのコメントを寄せている。

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、1月31 日にスイス・ジュネーブで開いた記者会見で、「こんな動員の仕方は未だかつて見たことがない。多くの人が注目しているのは中国が10日間で大きな病院を建設しているということかもしれないが、中国が講じている対策は単にそれだけにとどまらない。この対策が、コロナウイルスとの闘いの情勢を好転させると信じている」と語った。

火神山医院が完成すると、作業員や設備はすぐに次の現場へと向かい、同じく新型コロナウイルス感染による肺炎患者を治療する専門仮設病院「雷神山医院」の建設に当たっている。彼らの戦いはまだまだ続いているのだ。

習近平中央軍事委員会主席の認可を経て、軍隊が選出した医療スタッフ1400人が、2月3日から、「火神山医院」で、新型コロナウイルス感染による肺炎患者の治療に当たっている。小湯山医院でSARS患者の治療に当たったり、シエラレオネやリベリアでエボラ出血熱の患者の治療を援助した経験があるなど、伝染病治療において経験豊富な医療スタッフが多いという。【人民日報】

劉軍国のミニ解説

火神山医院のほかにも、8万平方メートル近くの面積と1600床の病床数を持つ雷神山医院が2月8日から第1陣となる患者を収容治療し始めた。火神山医院と雷神山医院という二つの病院を高効率で建設したことは、中国のこの時期における感染拡大阻止の取り組みの縮図に過ぎない。現在、中国各地から200以上の医療チーム、2万5千人以上の医療従事者が湖北省の支援に駆けつけている。中国の16省(自治区・直轄市)が武漢を除く湖北省の地方級都市を一対一で支援し、一つの省が一つの市の支援を引き受ける形で、湖北省の患者治療の強化を全力で支援している。2月16日24時の時点で、湖北省で治癒・退院した人は累計6639人となっており、また2月3日以降、湖北省以外の地域で新たに確認された患者の数は13日連続で減少した。今回の感染拡大は国家ガバナンスシステムと能力にとって大きな試練となった。ウイルスの遺伝子配列をいち早く検知して世界とシェアしたことから、史上最大規模の都市封鎖措置を講じて感染の源を隔離したことに至るまで、中国政府は人民の生命の安全と健康に対してその責任をしっかり担うという態度で、いまだかつてなく世界にもまれな予防・抑制と治療措置を講じており、その多くの措置は「国際保健規則」(IHR)の要求すら超えている。

「中国スピード」はなぜこれほどまでに速く、「中国パワー」はなぜ尽きることがないのか?その答えは、人民の意志を体現し、人民の権利と利益を保障し、人民の創造意欲を喚起する中国の制度的優位性にあることに、国際社会は気づき始めている。中国共産党の力強い指導と、中国の特色ある社会主義制度の極めて大きな優位性と、日本をはじめとする国際社会の強力な支援があれば、今回の感染拡大阻止の闘いに中国は必ず打ち勝つことができるだろう。

.png

劉軍国 人民日報東京支局長

1986年山東省青州市生まれ。北京外国語大の日本学研究センターの日本社会経済コースで修士課程を修了、在学中に横浜国立大で客員研究員。

2011年12月から16年1月、17年11月から現在まで日本駐在。著書の「温故創新」(日本僑報)では安倍晋三首相、福田康夫元首相、二階俊博自民党幹事長ら日本の政界・財界・学術界など各界の人々を取材し、新中国70年の発展成果などについての生の声をまとめた。