シリーズ「中国商務熱点」④

人民日報の視点 中米経済貿易協議

中米が第1段階合意に署名

共通の利益にかなう一歩

中米経済貿易協議の第1段階合意が米時間15日にホワイトハウスで200人余りが立ち会う中、正式に署名された。通常と異なる非常に高い格式の署名式で鳴りやまぬ拍手の音からは、「貿易摩擦の終結へ向かう」という好材料のメッセージを強めることへの願いが透けて見えた。この成果が問題解決へと前進する一歩であり、中米両国の共通利益にかない、世界の平和と繁栄に資する一歩であることは誰もが認めている=写真はドローンで撮影した上海洋山深水港。人民日報提供。

2019年12月13日に中米双方が第1段階の合意に達したと発表した際、中米双方の企業と市場の奮い立つような気持ちを物語るに十分な積極的な反応を国際市場が続けざまに示した。そして米側がこれを、「貿易史上最も重要な日だろう」と直ちに評した。

貿易摩擦を止めるには、双方が共に向き合って進み、溝を管理・コントロールする行動を取らねばならない。歴史・文化・伝統、社会制度、発展路線、発展段階の異なる中米両国が、互いの間の各面に存在する差異を客観的に受け止め、相互参考と共同進歩の意義を弁証法的に考え、「協力こそが唯一の正しい選択である」との道理を深く理解し、小異を残して大同につく協力・ウィンウィンの道を手を携えて切り開くには、非凡な戦略的視点と卓越した政治的知恵が不可欠だ。2018年以降、両国の首脳は会談を2回、電話会談を7回行い、経済貿易問題の解決について共通認識を形成し、原則を明確にし、方向性を導いた。両国首脳の共通認識に導かれて、中米ハイレベル経済貿易協議は13回行われ、中米包括経済対話の中国側トップは米国の通商代表や財務長官と20回あまり通話した。並大抵でなく困難な長い過程において、たとえ疾風と暴雨に見舞われても、中国側は常に理性と冷静さを保ち、両国の共通利益と世界貿易秩序の大局を守る観点から、対話と協議による問題解決を堅持し、最大の辛抱強さと誠意をもって米側の示した懸念に対応し、小異を残して大同につく姿勢で溝を適切に処理し、様々な困難を克服し、実務的な解決案を示した。幾度か頓挫し、成果を得るのは困難だった。それ以上に、これが中米にとって意志と決意、実力とエネルギーを互いに認識する困難な道のりでもあったことに目を向ける必要がある。正しい知識を悟り、正しい思想によって実践を指導して初めて、これまでの全ての努力が無駄ではなくなる。

互恵・ウィンウィンの合意

客観的に言って、第1段階合意は中米双方の関心を体現しており、平等と相互尊重に基づき形成された互恵・ウィンウィンの合意だ。合意に達したという事実は、互恵・ウィンウィンが中米経済貿易協力の本流であることを物語っている。相手国の尊厳・主権・核心的利益を常に尊重すれば、双方は前進の中で出現する困難を克服できる。合意での約束を遵守することは、両国の貿易協力の拡大、特に両国の資源の最適な配置と経済構造の調整に寄与し、両国の企業と世界中の投資家にさらに安定した見通しをもたらす。これは世界中の生産者、消費者、投資者の共通利益でもある=写真はドローンで撮影した上海自由貿易試験区臨港新片区。人民日報提供。「太平洋をまたぐ握手」から「太平洋をまたぐ協力」へ。新時代の中米経済貿易関係は良好な発展を維持する良い基調であるべきだ。中国にとって第1段階合意は全体として改革の深化及び開放の拡大という大きな方向性と合致し、質の高い経済発展の推進という内在的需要と合致する。中国は自国の事をしっかりと行い、自らのペースで改革を深め、開放を拡大し続ける。「安定の中で好転」「長期的に好転」という経済の基本的趨勢に変わりはない。中国国内市場の拡大に伴い、中国企業は世界貿易機関(WTO)のルール及び市場化・商業化という原則に従い、米国を含む各国から良質で競争力ある製品及びサービスの輸入を増やす。これは国内消費の高度化という趨勢に順応し、人々の日増しに高まる素晴らしい生活へのニーズを満たす助けとなる。

協力は摩擦より良く、対話は対立より強い。中米間の経済貿易問題の解決は長期的で複雑かつ困難だ。中米間の経済貿易協力を維持するには、たゆまぬ努力を堅持する必要がある。中米国交樹立以来40年余りの実践は、「和すれば共に利し、争えば共に傷つく」という基本的事実が常に変わらぬことを繰り返し証明している。互いの核心的利益と重大な懸念を尊重し、平等と相互尊重の原則に従い、いかなる困難にも決してくじかれぬ意志と行動を示しさえすれば、やれることは困難の数より多いはずだ。現在、中米双方は評価と紛争解決の取り決めをすることで合意した。これは今後中米が問題解決の建設的な案を共に協議し、摩擦のエスカレートの回避に努め、経済貿易関係の安定的発展を維持するうえで、重要な意義を持つ。【人民日報「鐘声」国際論評】

劉軍国のミニ解説

中国は一貫して、溝や摩擦は最終的に対話と協議によって解決するべきだという方針を堅持している。中国の多くの権威ある専門家は、中米経済貿易協議の第1段階合意は平等かつ互恵的で、ウィンウィンな合意であると考えている。中国社会科学院世界経済・政治研究所研究員の高凌雲氏は、「長期にわたって、中国政府は知的財産権保護を非常に重視してきた。今回の合意で得られた共通認識は、知的財産権保護の強化という中国の改革の方向性に合致し、イノベーションを保護するうえで役立ち、国外の知的財産権がさらに中国へと導入され、イノベーション型国家を築き、イノベーション型企業を育成するうえでプラスになる」と指摘した。また、中国社会科学院世界経済・政治研究所国際貿易研究室主任の東艶氏は、「為替レートに関する内容には、通貨の競争的な切り下げを控え、為替レートを競争目的で用いないといった、平等互恵と相手国の通貨政策の自主性尊重という原則が体現されている。これによって中国の為替政策の自主性が根本から保障され、『プラザ合意』のような不利な結果を招くことはないだろう」との見方を示した。今後、中国は改革開放の既定の方向性とテンポを堅持し、自国の事をしっかりとやることを堅持し、中国経済の長期的な安定運営を実現するよう努力していくと思う。

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劉軍国 人民日報東京支局長

1986年山東省青州市生まれ。北京外国語大の日本学研究センターの日本社会経済コースで修士課程を修了、在学中に横浜国立大で客員研究員。

2011年12月から16年1月、17年11月から現在まで日本駐在。著書の「温故創新」(日本僑報)では安倍晋三首相、福田康夫元首相、二階俊博自民党幹事長ら日本の政界・財界・学術界など各界の人々を取材し、新中国70年の発展成果などについての生の声をまとめた。