「米中対立」改善へ大阪で開催中国側は保護主義批判

米中貿易対立の中で両国のトップ会談が注目される主要20カ国・地域(G20)首脳会議開幕を前に、「開放型世界経済の共同構築に向けて」と題する国際フォーラム(中国社会科学院・中国日報社主催、アジア開発銀行研究所=東京=など共催)が6月25日、大阪市内のホテルで開催された。フォーラムを主催する中国側は、習近平国家主席が来日することを踏まえて中国の立場を事前にアピールする場と位置づけており、米国の保護主義を批判し自由貿易の堅持を主張した。日本など他国の発言者からは気候変動など米中協力分野の言及があった。
【毎日アジアビジネス研究所】

中国社会科学院長冒頭、郭衛民・中国国務院新聞弁公室副主任、周樹春・中国日報社長兼総編集長=写真左=があいさつし、米中貿易対立を念頭に多国間主義と経済の互恵関係の必要性を強調した。謝伏瞻・中国社会科学院長は基調講演で「米国で保護主義と一国主義が台頭し、グローバル経済を崩壊させている。米国は自国の利益のために自由貿易を進めたにもかかわらず、今はそれに逆行し、これが米中対立の要因になっている。習主席は(中国)市場参入のハードルを下げ、開放政策を拡大している」と述べた。

日本から出席した来賓の村田吉隆・日中科学技術文化センター会長(元国家公安委員長・防災担当相)は「米国が自分でつくった(自由貿易の)秩序に戻ってくることを期待する。二国間のディール(とりひき)による解決は本質ではない」と米国を牽制しつつも、「中国は自由貿易体制に組みするならば透明性、公平性に努力してほしい」と中国側に要望した。吉野直行・アジア開発銀行研究所長=写真右下=は基調講演で「アジアでは経済波及効果のある『質の高いインフラ』が大事。中小企業の役割とともに高齢化社会の対応が必要だ」と米中問題への言及を避け、日本が議長国であるG20首脳会議に向けた政策を提言した。

中国社会科学院長2.jpg米国からセッションに参加したマシュー・グッドマン米戦略国際問題研究所(CSIS)シニアアドバイザーは「世界の不確実性は米国と中国が要因となっている。トランプ大統領は中国に対して〝テロ〟を行っている。中国も(自国の)市場へのアクセスを妨げている。(米中対立で)グローバル経済はダメージを受けている。ただし、米国の多数はグローバリゼーションの徹底を望んでおり、中国を弱体化しようと思っていない」と語った。

知的対話など協調提言も

中国社会科学院長3英国のマーチン・ジャックス・ケンブリッジ大学国際政治研究所シニアフェロー=写真左=は「トランプ政権が中国のファーウェイを経済制裁した。テクノロジー経済(の成長度合い)によって世界は前にも後ろにも進む。(米国の)孤立主義は衰退を早める。中国は忍耐すべき時だ」と言及。ケリー・ブラウン・ロンドンキングスカレッジ教授は「中国の独特の社会主義型経済はユニークで(自由主義の)他の国には包容できない面がある。東洋と西洋の2つの世界観と合わせて知的秩序のもとで対話すべきある」と提案した。

フォーラムには中国、日本、米国、英国、カナダ、イタリア、南アフリカなどの研究者ら約200人が参加し、「(社会主義の)中国は新型の開放大国なのか」との問題意識とともに、米中協調の方策が議論された。一方、フォーラム開催にあたり、米国が離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を推進する日本と多国間(交渉)主義のキーワードで共同歩調をとりたい中国の戦略も垣間見えた。