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日本に「一帯一路」への積極参加を呼びかける蒋建国・新聞弁公室主任=北京2017年12月16日、赤間清広撮影

中国がブロックチェーンの技術を使って、新たな行政インフラの合理化、強化を進めようとしているようだ。多数の銀行を結ぶ、新たな金融基盤を開発する一方で、中東のブロックチェーン先進国であるドバイ政府などと結び、貿易プラットフォームの拡充も始めている。仮想通貨以外の利用が広がるブロックチェーン。中国は独自経済圏を支える一帯一路構想の基盤として重視している。株式会社ブロックチェーンハブのインダストリーアナリスト、堀鉄彦氏が解説する。【毎日アジアビジネス研究所】

中国銀行協会が基盤発表

2018年12月、中国銀行協会(CBA)は「China Trade and Finance Interbank Trading Blockchain Platform」(中国貿易および銀行間取引ブロックチェーンプラットフォーム)の立ち上げを発表した。中国の銀行間で、金融商品の取引情報や、貿易金融の新しいエコシステムを構築し、金融サービスの効率を改善するための重要な基盤を築く目的で運営される。

CBAによると、中国工商銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、通信銀行、中国商人銀行などの主要銀行で採用後、中小の銀行にも利用を広げる計画。独自のグローバルな金融基盤であり、「一帯一路」を支える重要基盤とも見られている。

一帯一路プロジェクトには約70カ国の加盟国がある。このため、国際銀行間通信協会(SWIFT)など既存の金融システムを使ったときの手数料は膨大なものとなる。

通貨の交換を省くことができるブロックチェーンでの取引が実用化されれば、それは解消される。ユーロがEU圏で果たしているような役割を、一帯一路(OBOR=One Belt One Road)独自の暗号通貨により行うことで、独自の経済圏と取引プラットフォームを容易に構築できるはずだ。そうした動きの第一歩になる可能性が高い。

ブロックチェーン先進国

中国は、ブロックチェーン技術に関してはすでに米国と対等レベルの先進国だ。調査会社IPRdailyの発表資料によると、2017年の特許獲得数上位100社のうち、中国企業が49%を占め、2位米国の33%を大きく上回った。

1位はアリババで、中国人民銀行の研究所が3位に入るなど上位10社のうち、7社が中国の会社だった。

16年以降、本格的に国家レベルでの取り組みを開始。昨年3月には、中国人民銀行の関連組織である Zhongchao Blockchain Research Instituteが、中央銀行が支援するブロックチェーンプラットフォームとしてBlockchain Registry Open Platform(BROP)を発表するなど、基盤整備を進めている。

BROPは、ユーザーID、証明書データ、デジタル資格情報などのデータベースをブロックチェーン連携の形で作成。さまざまなサービスのインフラとして機能させることを狙った個人認証基盤。中国人民銀行は、デジタル通貨に関する特許も多数取得しており、その発行準備を着々と進めていると言われる。

また、QTUM、NEO、VeChain、Tron、Ontologyなど、ブロックチェーン業界の多くの注目プロジェクトが中国企業によって行われている。各プロジェクトには政府の手厚い支援がある模様だ。

基盤整備の動き、明らかに加速

中国ブロックチェーン(2)一帯一路関連ではこのほか、香港のブロックチェーン企業Matrix AI Networkが政府系機関であるBelt and Road Development Research Centerと契約したことや、中国のブロックチェーン会社Yuanbenが、一帯一路領域で物流のマッチングプラットフォームを展開するMaritime Silk RoadPlatformと提携したことなどが昨年報道されている。一帯一路を巡るブロックチェーン基盤整備の動きは明らかに加速されているといっていだろう。

ドバイと緊密な関係

そんな中、中国政府と非常に緊密な動きを示しているのが中東のブロックチェーン先進国、ドバイ政府だ。

ドバイ政府は6月、サプライチェーンの管理を基本に「一帯一路」の基盤を支援するブロックチェーンベースのプロジェクト「Digital Silk Road」の開発を発表した。その直後に2018年7月には習近平主席がドバイの属するUAEを訪問した際、「一帯一路事業に関する共同覚書」に署名している。

両国は、ブロックチェーンを使い、共同で「一帯一路」の推進を行うこととなった。報道によると、中国からアラブ諸国への輸出の3割をドバイ経由とすることも予定されているという。

ドバイのDigital Silk Roadプロジェクトは、ブロックチェーンを利用することで多国間の取引を追跡し、取引時間を短縮、暗号化された安全な方法でデジタル認証を可能にすることを狙う。IoTや決済、スマートコントラクトなどの開発環境も整える。取引の透明性を保ちつつデジタル化、自動化を推進することで、セキュリティや手作業による間違い、紙の使用によるコスト増、手順に確認に費やす時間削減などを目指す。

ドバイ政府が属するUAE(アラブ首長国連邦)は昨年、「ブロックチェーン戦略2021」を発表。一方でドバイ政府は独自にスマートシティ化をテーマにした「SMART DUBAI」の計画を推進している。

「ブロックチェーン戦略2021」は国民など利用者に識別番号を付与したうえで、国内の文書や取引のデジタルセキュリティを確保。行政システムの運用コストの削減や、意思決定の迅速化を狙うもの。政府取引も出来るだけ多くをデジタル化し、ブロックチェーン技術を採用して承認手続きなどの自動化を推進する。「フェイズⅠ」となる行政手続きからの紙書類の追放は近々達成する計画だ。

「SMART DUBAI」では、すでに本人確認システムである「UAE PASS」や55もの政府サービスにアクセスできるスマートフォン向けアプリ「DUBAINOW PORTAL」など複数のサービスがすでに動き出しており、これを徐々にブロックチェーンベースに以降していく方針。

ドバイはこのほか、観光・商業マーケティング部門(CTCM)でホテルやツアーサービスにブロックチェーン技術を導入する「Tourism2.0」を発表するなど、さまざまな分野でブロックチェーン技術の開発と導入を始め、中東各国の中でもブロックチェーン施策では先端を行っている。

一帯一路関連ではこのほか、12月にはタイのバンコクに「”The Belt and Road” Cooperation Research Center」がオープン。1月には、一帯一路加盟国のひとつであるパキスタンに本拠を持つTelenor Microfinance Bankが、アリババの支援を受けてブロックチェーン国際送金サービスを開始するなどの動きがある。

絶対的信頼基盤が国家も変える

中国ブロックチェーン(3)
香港の中国返還20周年記念式典に出席する習近平国家主席=香港国際空港で17年6月29日、福岡静哉撮影

ブロックチェーン技術の最大の特長は、そこに記載されるデータの管理が中央集権組織により一元的に行うのではない分散保持で行われている点。そして、記録されたデータが改ざんされていないということへの信頼性だ。

多数のサーバーでデータを共有しながら相互監視を行い、プラットフォームの運営者ですらデータの書き換えは難しく、データの透明性も保証される。

ブロックチェーンは新たに生まれた「絶対的」「公共的」な信頼の基盤である。だからこそ仮想通貨の価値保全が可能となったし、交換も安全に行えてきた。「森友問題」のような公文書改ざん問題も、理屈上起きない。そもそも、国など公共のインフラを支える基盤には非常に向くツールなのである。

欧州ではすでに、エストニアがブロックチェーンと連携する高度なデジタル政府システムを稼働させ始めており、電子移民を受け入れる「電子居住者制度(イーレジデンシー)」や、それを基盤にした選挙制度、法人設立制度などが動き始めている。仮想通貨のプラットフォームを多数受け入れることで、国の発展を目指すマルタなども登場、「国家のあり方」にも影響を及ぼし始めているといっていいだろう。

一帯一路でアジアのブロックチェーン先進国である中国と参加諸国がつながることで何が生まれるのか。ブロックチェーン基盤の連携で、SWIFTを中心とする既存国際金融プラットフォームに依存しない取引基盤の確立がなされた時、通貨経済にはどのような影響があるのか。国家主導のブロックチェーン基盤の動きから目が離せない。

 

アジ研・中国ブロックチェーン堀さん堀 鉄彦(ほり・てつひこ) (株)コンテンツジャパン代表取締役、(株)ブロックチェーンハブ インダス
トリーアナリスト

1984年中央大学法学部政治学科卒。
86年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。日経イベント、日経パソコン、日経ネットナビなどの編集部を経て、2015年3月末にメディア・ITビジネスのコンサルタントとして独立。

18年4月に(株)ブロックチェーンハブに参画。グループ内にブロックチェーンビジネスの企画・開発会社(株)コンテンツジャパンを立ち上げる。経済産業省の海外コンテンツ輸出調査や海賊版対策などの委員を歴任。現在、「文化通信」にて「デジタルトレンド」を連載中。