モルディブ フルマーレ・プロジェクト

首都の過密解消めざす人工島
モルディブ最大の開発プロジェクト

首都マレに隣接するフルマーレ島開発プロジェクト。世界で最も人口密度が高い首都とされるマレの住宅不足を解消するためにラグーンを埋め立てた人工島で、最終的には人口20万人以上のニュータウンが建設されるモルディブ共和国最大の開発プロジェクトだ。開発・運営のすべてをの発を担う国営企業「ハウジング・デベロッピング・コーポレーション」(住宅開発公社、HDC)のスハリ・アフメド社長に、開発の狙いや進展状況、またプロジェクトへの日本企業の参入の可能性などについて聞いた。

住宅開発公社(HDC)
スハリ・アフメド社長に聞く

フルマーレフェイズ2の完成予想図=HDCのホームページから
オンラインでインタビューに答えるアフメドHDC社長

――最初に、フルマーレプロジェクトの背景と現状を教えてください。

アフメド氏 首都があるマレ島は面積が190ヘクタール(およそ東京ディズニーリゾート2個分)しかなく、すでに環礁の端まで埋め立てられていて拡張の余地が一切ありません。1990年代、離島から首都へ職や教育を求める人たちの人口集中でマレの過密度は増すばかりで、政府は住宅対策などを迫られました。そこで持ち上がったのが、マレ島から2・5キロほど離れたラグーンを埋め立て、マレよりも広い人工島をつくってニュータウンを建設する計画です。

1997年に工事が始まり、これまでに第1期188ヘクタール、第2期240ヘクタール計428ヘクタールの埋め立てが完了。すでにフルマーレはマレ島よりも広い島になっています。マレから国際空港のあるフルレ島への橋が2018年に完成し、マレ島からフルマーレ島まで3つの島が道路で結ばれました。

1期の埋め立て地はほぼ開発が終わっており、すでに6万から6万5000万人が暮らす新しい街が誕生しています。2期エリアには25階建ての高層住宅7000戸が完成し、今後数カ月のうちに約3万人が引っ越してくる予定です。

埋め立てと開発が進む様子がわかるフルマーレの衛星写真。上から1997年、2012年、2018年の撮影。右下の細長い部分はヴェラナ国際空港=HDCのホームページから

必要なインフラすべて整備
再生可能エネルギーにも対応

――フルマーレ島は住居専用の島ですか?

アフメド氏 島には住宅地区だけではなく商業地区、金融地区、ITパーク、コンベンションセンター公園などが建設されます。それぞれ規模は大きくはありませんが、人々がここで生活し仕事をするための必要なインフラはすべてそろっています。

――フルマーレの「持続可能性」と「スマートシティ」について教えてください。

アフメド氏 今後、温暖化の進展で海面の上昇が予想されています。マレ島は高いところでも標高1メートル台ですが、フルマーレはそれよりも高い2メートルに設定され、海面上昇に備えています。再生可能エネルギーへの移行のため、集合住宅の屋上には太陽光発電のソーラパネルを備えます。

島内ではすべての人に高速のインターネット接続を提供し、またスマートフォンの充電もできるようにします。日本では当たり前になっているかも知れませんが、モルディブでは非常に新鮮なことです。ネットワークは道路と同じようにここで仕事をするために必要なインフラストラクチャーで、私たちHDCが整備し提供します。

日本の最新技術に期待
投資家との対話を歓迎

――フルマーレプロジェクトでは日立製作所の子会社が海水の淡水化装置を受注しています。どのような日本企業に参入のチャンスがありますか?

アフメド氏 私たちの街に導入できる日本の先端技術を持った企業に、参入のチャンスがあると思います。

私たちは最近、モルディブ環境省を通じて日本の富山市が開催した脱炭素型都市を目指す都市間連携セミナーに参加し、持続可能性を意識したマレからフルマーレの交通システムを提案しました。現在、日本側がフィジビリティースタディーを実施中ですが、日本の環境省に採択されれば、日本企業の技術導入とひき換えに事業費の50%を日本政府が無償供与することになっています。

最近、マレ島をはさんでフルマーレとは反対側にある2つの島が、工業用地と物流拠点用地としてHDCの管理下に移管されました。両島の開発には最新の物流施設や生産設備が必要になるでしょう。そして、そういった設備は日本の企業にとって確立された産業分野です。

私たちは外国の投資家に対して非常にオープンです。ここには様々な投資のチャンスがあります。その可能性について投資家の方々とお話できれば、大変素晴らしいことだと思います。

フルマーレの住宅街で開かれた、イスラム教の断食月の終わりを祝うイードのパレード。開発が進む
フルマーレには新たな地域コミュニティーが生まれはじめている=HDCのホームページから

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