Asia Inside:感染拡大――加速するデジタル教育(その1)

新型コロナウイルスの感染が中国から日本、アジア、そして欧米に拡大するなど人類を脅かす感染症のパンデミック(世界的流行)となっている。それに伴い、中国や日本など多くの国で学校の休校が相次ぎ、児童・生徒はオンライン教育に殺到している。デジタル化技術を活用したEdTech(エドテック)がオンライン教育を支える。EdTech先進国である中国、そして日本でオンライン教育が加速している現況を報告する。【毎日アジアビジネス研究所】

中国・新型コロナウイルス禍
サービス産業デジタル化は巨大市場

北京より寄稿 ジャーナリスト・陳言

オンライン教育に殺到

中国江蘇省丹陽市の中学2年生、周玉玥さんは今年の春節(1月25日)の後、家でオンライン教育を受けることになるとは夢にも思っていなかった。春節休暇が終わったら、本来、2月10日から新学期が始まるはずだったが、3月下旬になっても学校側から具体的な新学期開始時期を指示して来ない。

江蘇省は8000万の人口を擁し、この外に他都市から出稼ぎに来ている人が1000万人前後いる。新型コロナウイルス感染発生後2カ月の間、同省の感染者は631人で、死者は出ていなかった。初動の感染防止策が効果的だったためだが、学校は休校し、工場は長い間、操業停止状態が続き、本稿執筆時の3月下旬になってもフル操業に戻ってはいない。

周さんは家で暇を持て余しているわけではなかった。「毎日、学校のオンライン授業を受けなければなりません。パソコンの動作操作はいつも遅いので学習条件は良くありませんよ」とぼやく。学校のオンライン授業の外に、さまざまな有料、無料の講座があり、今後、高校に進学し、大学受験を目指している彼女は何とか遅れずについて行かなければならないと焦っているのだが、パソコンの操作は遅く、一部の先生の教え方は彼女には合わない、と不満だらけだ。

「休校だが休学ではない」

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アパートのエレベーター脇で流されているオ
ンライン教育の動画コマーシャル。利用者は
全国で累計4億を突破したとうたっている
=2020年3月21日、筆者撮影

新型コロナウイルス発生後、中国各地で休校が続き、そこから「休校だが休学ではない(勉強は休まない)」という考え方が広がってきた。少し前まではすさまじい勢いだった対面(オフライン)の塾が感染拡大を避けるために休講を余儀なくされ、多額のコストをつぎ込んで、オンライン転換の道を模索し始めた。また、各地の公立学校もオンライン授業に乗り出し、オフライン教育の休業を補う代替になった。感染拡大による休校期間中に、オンライン教育プラットフォームは昨年夏休みの巨額投資を顧みず、一転して全国の小中学生に無料講座を提供し、休校によって家庭に閉じ込められ、たまったストレスを吸収排出するドレーンの役割を果たした。無料講座プラットフォームは多くの新規ユーザーを開拓した。第一財経記者によると、補習講座のユーザーは1000万人を上回り、新東方オンラインは延べ200万回の無料講座を発信した、という。

こうしたドレーン効果の外に、最近、オンライン教育企業の台頭は金融市場で注目され始めている。一部のオンライン教育企業の株価が上場以来の新高値で取引されている。2月7日、新東方オンラインの株価は史上最高値の37・5香港ドル(約525円)を付けた。網易有道も同10日に上場以来の最高値、29・5ドル(約3275円)に達し、発行価格を73・5%上回った。

サーバー崩壊現象も

ユーザー激増によって、オンライン教育プラットフォームに動作の遅延、サーバーの崩壊などの現象が起きている。本来、2月10日に始まるはずの学校は休校のままで、大部分の児童生徒がオンラインを利用し始めたために、関連プラットフォームが全面的なマヒ状態に陥った。その主な理由はアリババクラウドの過負荷だった。アリババクラウドがメーンであり、市場占有率が高いからで、影響は各社によってさまざまだった。オンライン教育企業、洋葱学院の関係者はメディアに対して「確かにアクセス量が激増し、サーバーはパンク状態だ」と語った。サーバーはこれほど多数のユーザーが同時にオンラインにアクセスすることを想定していなかった。

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