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中国に次いで世界2位の縫製品輸出。円借款などを活用して集中的に進むインフラ整備。そして、目覚め始めた人口1億6000万人の巨大市場――。いま、バングラデシュが熱い。2009年に就任したシェイク・ハシナ首相の在任期間は10年に及び、政治的にも安定。最新の経済成長率は年8%を超え、世界でもトップレベルの急成長ぶりだ。進出企業やインフラ開発の現場など、現地から報告する。【毎日アジアビジネス研究所・西尾英之】

目次

世界のアパレル工場 主役は女性従業員 日本市場へ一貫生産――マルヒサ・パシフィック

徹底した現地化ビジネスで販路拡大――巨大市場に挑む味の素社式営業

庶民の足「オートリキシャ」EV化を――日本のベンチャー企業・テラモーターズ

メトロ工事真っ盛り 巨大総合開発も――インフラ整備支える円借款と日本企業

進出企業8年で3倍 繊維、インフラ、内需関連が3分の1ずつ

日本は我が国最大の開発パートナー さらに投資拡大を――ファティマ駐日大使に聞く

 

「世界のアパレル工場」主役は女性従業員
日本市場へ一貫生産――マルヒサ・パシフィック

冬物トレーナーの生産真っ盛り

日本が猛暑を迎えていた8月上旬。東京から直線距離で約5000キロ離れたダッカ南郊にある「マルヒサ・パシフィック」社の工場では、広いフロアぶち抜きで設置された1255台のミシンがうなりを上げ、この冬、日本の大手総合スーパーで販売される冬物トレーナーの縫製作業が真っ盛りだった。

産業用ミシンを操って製品を仕上げていく女性従業員。
ミシンが並ぶ縫製フロアでは、男性の姿はほとんどみか
けない=「マルヒサ・パシフィック」社工場で西尾撮影

同社は徳島県鳴門市に本社を置くアパレル・メーカー「丸久」(平石公宣社長)の現地法人。糸から生地への「編立」▽生地の染色▽縫製▽プリント――まで衣類の一貫生産を行う、従業員2230人の大規模工場。完成した製品は、針の混入がないかを調べる金属探知機など厳重な全品検査の後、箱詰めされてそのまま日本へと出荷されていく。

肌着の縫製工場として鳴門市でスタートした「丸久」は、1970年代に子供服分野に進出。円高などの影響で90 年からタイ、94年からは中国・山東省と、生産の海外移転を図った。だが中国では賃金の高騰から従業員確保が困難になり、新たな拠点を模索して目に付いたのが、繊維産業の集積地として衣類の輸出が急増していたバングラデシュだった。

2009年にパシフィック社を設立し、翌10年から工場が稼働した。当初はミシンで衣類を仕立てる縫製部門だけだったが、11年には編立、染色部門を立ち上げて、糸から完成品までの一貫体制を確立した。

工場も増設を重ね、現在は丸久製品の4分の3以上を生産する主力工場糸から製品まで、マルヒサ・パシフィック社の製造工程。①糸から生地への編立②染色③生地のアイロンがけ④最新の設備を利用した自動裁断⑤機械化が進むプリント⑥縫製⑦アイロンがけ⑧検品と袋詰め⑨は佐川康司社長=いずれも西尾撮影として稼働する。Tシャツやトレーナー、パーカーなどを中心に、ニットやパンツ、スカート、ベビー肌着など月80万枚規模の衣料を生産。ほぼ全量を日本向けに輸出している。

糸から製品まで、マルヒサ・パシフィック社の製造工程。①糸から生地への編立②染色③生地のアイロンがけ④最新の設備を利用した自動裁断⑤機械化が進むプリント⑥縫製⑦アイロンがけ⑧検品と袋詰め⑨は佐川康司社長=いずれも西尾撮影

世界2位の縫製輸出国

マルヒサ・パシフィック社の佐川康司社長によると、バングラデシュ国内には紡績工場が373社、輸出向け縫製工場が約5200社あり、従事する労働者は約500万人に上る。各国の雇用規模は中国958万人、インドネシア300万人、ベトナム250万人、カンボジア73万人、ミャンマー20 万人などで、東南アジアの主要国と比べてもバングラデシュ繊維・縫製産業の規模の大きさが目立つ。

 

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