DSC01772毎日アジアビジネス研究所と早稲田大学社会人教育事業室が企画・プロデュースする「ビジネスイノベーション創造講座」の第1回目が、「ニューエコノミー時代の知性を学ぶ」と題して11月15日、東京都中央区日本橋1のCOREDO日本橋内にある「WASEDA NEO(早稲田大学日本橋キャンパス)で開催された=写真。

イノベーションを創造する力

DSC01784講座は、テクノロジーの発展で急速に変化する現代社会に必要な「イノベーションを創造する力」を育むことが狙い。AMBITIONERS LAB共同代表、一般社団法人Zen2・0代表理事などを務める宍戸幹央さんが、講座全体の企画のほかモデレーター、コーディネーターを務める。

初回の今回は、著作家で外資系コンサルタント「コーン・フェリー・ヘイグループ」のシニアクライアントパートナーを務める山口周さん、元NHK出版編集長でWIRED日本版編集長の松島倫明さんが登壇。それぞれの立場から、テクノロジーの進化がもたらした「ニューエコノミー」時代の課題について問題提起し、その解決策についての考え方を提示した=写真は左から宍戸さん、山口さん、松島さん

プラットフォーム資本主義の時代

DSC01717最初に講演した松島さんは、「ニューエコノミー」について、90年代に「デジタル技術の進化で今までと違う経済がやってくる」と流行した言葉だと紹介。それから20年以上を経て、当時言われた変革が現実になりつつあると指摘。「勝者がプラットフォームを築き総取りするというプラットフォーム資本主義の時代を迎え、独占的な企業が国の壁を越えて支配する体制をどう越えていけばよいのか」と問題提起した=写真

松島さんはその答えの一つとして「コーポラティズム」経済、つまり「グーグルを、すべての人がカネを出し合って持つ世界」、もう一つ、今まで一部の企業や組織に集中していた「信用の管理」を分散させる「ブロックチェーン」を挙げた。

経済にどう公共性を回復

DSC01742続いて講演した山口さんは、英語のエコノミーの語源はギリシャ語の「オイコノミー」(家計)で、「経済とは本来、公共性ではなく自身の利益を考えるプライベートなもの」と指摘。「ニューエコノミーの今、歴史上初めて『経済』という言葉の定義が変わりつつあり、経済にどう公共性を回復していくかという課題が突きつけられている」と問題提起した=写真

山口さんは、過去に比べれば格段に生産性は高まっているのに、日本の企業は「美しいもの」を何も創り出していないと指摘。日本では自身の仕事が社会的な意味があると考える人が1割しかいないなどの例を挙げ、利益追求だけを行動規範とする「シングルスタンダード」の企業を、別の規範を併せ持つ「デュアル・スタンダード」に変革する必要性を呼びかけた。

また、現代の企業は「ありたい姿、世の中はこうあるべきだ、という姿を描けない。『公』と経済をつなげていくためには、ビジネスにリベラルアーツを取り入れていく他にない」と訴えた。

ブロックチェーンは本当に分散化?

この後、モデレーターの宍戸さんも交えたてい談に移り、松島さんは、「ネットワークテクノロジーは(集中か分散かの)両極端に動かす」と指摘。シェアリングエコノミーについて、一部のプラットフォーム企業のみが大きな利益を得ている現状は「間違い」、ブロックチェーンの今後についても「分散化が進むかはわからない」とした。

一方で「20世紀のプラットフォーム企業は労働者から搾取したが、今のネットワーク企業は人を肉体的に搾取するのとは違う」とし、プラットフォームについて「よい面も悪い面もある。僕たち全員がプラットフォームを持てるようになればよい」と話した。

キーワードは「ワガママ」

DSC01748山口さんは、「キーワードは『ワガママ』。カーシェアリングが進めば多くの自動車メーカーは要らなくなる。日本は食べていけなくなるのが明確なのに、まだ四則計算ばかりやっていてディスマッチングが起きている。行動規範への裏切りができる人が出てこなければならない。若い人はそれが直感的にわかっている」と話した。

参加者を交えたQ&Aでは、20歳代の参加者が「同世代は、アイデアはあっても社会のリソースへのつながり方がわかならい」と質問。松島さんは「若いアイデアと企業のリソースをつなげるのは、僕たちメディアの役割」。一方山口さんは「若い人にはマキャベリズムも必要。大企業の持つリソースを引き出すためには、したたかさが必要だ」と話した。

また、スケールメリットを追求するため、多くの人に受け入れられる最大公約数的な製品を作ってきた日本企業のあり方について、「日本のローカルメジャーに特化したところは、他国に出て行くと訴求力がない」とし、日本で50%のシェアを目指すよりも、世界の1%の人々に「刺さる」製品を売っていく企業を目指すべきだとの考えを示した。

全4回の講座、次回は投資・金融の未来

「ビジネスイノベーション創造講座」は全4回。2回目は来年1月24日、「投資・金融の未来のあり方」をテーマに、株式会社「お金のデザイン」会長、谷家衛さんと株式会社「CAMPFIRE」社長、家入一真さんを招いて開く。3回目は「SDGsと日本そして世界」(2月)、最終回の4回目は「『情報』と『知』の格闘の意味するもの」(3月)を予定。

問い合わせと参加申込は「WASEDA NEO事務局」

電話 03・6262・7534

ホームページ https://wasedaneo.jp/