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 日越外交関係樹立45周年に1期生を送り出す

日越両政府が協力してベトナムの首都、ハノイに創設した日越大学の第1回学位記授与式が7月21日に同市内で開催された。2年間の修士課程を修了した第1期生56人が学位記を授与された。日越大学は国際協力機構(JICA)の技術協力のもとでベトナムの新たな「Center of Excellence(最高水準の教育・研究・人材育成拠点)」にすべく、ベトナム国家大学ハノイ校に属する大学として2016年9月に修士課程を先行して開講した。

古田元夫学長は授与式で「日越外交関係樹立45周年を迎える年に第1期生を送り出すことは意義が大きい」と祝辞を述べた。授与式には、グエン・キム・ソン・ベトナム国家大学ハノイ校総長をはじめ、日越友好議員連盟特別顧問の武部勤・公益財団法人「東亜総研」代表理事会長、梅田邦夫・駐ベトナム日本大使らが来賓として出席した。

「世界に一つだけの花」を合唱

修了生は来賓ら出席者とともにSMAPの「世界に一つだけの花」を合唱し、日越の友好とそれぞれの新たな出発を祝った。56人の修士課程修了生のうち、14人が有職者で、9人が博士課程後期課程に進み、12人が日本とベトナムの日系企業などへの就職が内定している。

修了生にはさまざまエピソードがある。

ベトナムで貧しいといわれるゲアン省出身の男子学生は、父親を若くして亡くし、母親に育てられたが、JICAの支援による奨学金でなんとか修士課程で勉強を続けられた。入学当初は、日本語はおろか英語の専門知識もあまり高くなかったが、東京大学での3カ月間のインターンシップを経験してから急成長。日本に長期留学経験のある「社会基盤プログラム」の教員に指導を受けながら、就職での面接の練習をした結果、日本企業の本社採用の内定を勝ち取った。授与式に母親を招待し、2人で写真を撮っている姿は、背景を知る学内関係者の間で静かな感動を呼んだ。

「パワフルウーマン」の称号

第1期生の中には、在学中に出産をした女子学生が2人いる。両者とも、お腹を大きくしながらに日越大学に通い、出産して、ほどなくまた授業を受け、無事に修士課程を修了した。このうちの一人は、最も過密なスケジュールであった第2セメスターに出産し、出産後1週間で授業に復帰。出産直後にもかかわらず、過密な授業スケジュールとレポートの嵐をくぐりぬけ、第3セメスターには故郷に赤ん坊を残し、日本での4カ月のインターンシップにも参加した。同級生からは「パワフルウーマン」の称号を与えられた。すでに故郷のハイフォンのベトナム企業で人事マネージャーとして働いており、今後もパワフルな活躍が期待されている。

日越大学は2017年12月、ハノイ市内の大学に留学中の日本人学生を対象とした「ベトナム語スピーチコンテスト」を開催した。亜細亜大学、大阪大学、関西学院大学、立命館大学から留学中の学生が、日越大学のベトナム人学生とチームを組んで参加した。日本人学生とベトナム人学生がお互いに協力し合って取り組むことを通じ、日越大学が目指す「日本とベトナムの友好の象徴」となるイベントになった。一方、2018年5月、国際交流基金主催の「日本語フェスティバル2018」で開催された日本語スピーチコンテストでは、日越大学の第2期生(日本研究)のホアン・ティ・チャムさんが優勝した。

2019年9月に学士課程も

現在、日越大学で開講中の修士課程プログラムは「地域研究」(日本側幹事校・東京大学)、「経営管理」(横浜国立大学)、「公共政策」(筑波大学)、「環境工学」(東京大学、立命館大学)、「ナノテクノロジー」(大阪大学)、「社会基盤」(東京大学) で、2018年度に「気候変動・開発」(茨城大学)、2019年度に「グローバルリーダーシップ」(早稲田大学)を新設する予定だ。

これと並行して、日越大学は教養教育を本格的に実践することを目的とし、2019年9月に学士課程を開設する準備をしている。ハノイ中心部から約30キロ西に位置する科学技術拠点都市「ホアラック・ハイテクパーク」の一角に新たなキャンパスを建設する計画があり、博士課程も順次設立し、将来的に、学生数6千人規模の総合大学を目指して整備を進める計画だ。(Mainichi Asia Business Institute 毎日アジアビジネス研究所)