加速するスコットランドの英国離れ:ロンドン 服部正法

外信部デスク 服部正法連合王国・英国を形成する四つの「国」の一つ、スコットランドで再び、英国からの独立を目指す機運が高まりつつある。2014年の独立を問う住民投票で独立反対派が55%と多数を占め、沈静化した独立機運だったが、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=からの離脱)の混乱とコロナ禍で、住民の「英国離れ」が加速し始めているためだ。

ブレグジットが「英国離れ」を誘う理由は、スコットランド住民に強い親EU志向があるためだ。16年のEU離脱の是非を問う国民投票で英国全土では約52%が離脱を支持したが、スコットランドでは残留支持が約62%に上り、イングランドなどと比べて、残留支持が際立って多かった。ケンブリッジ大の歴史家、ロバート・トゥームズ教授は「スコットランドの民族主義者にとってEUは独立につながる道。『小国』はEUの中でこそ安全が保障されると感じている」と、独立志向と親EU意識の関連を指摘する。また、イングランドに対抗するためにフランスと同盟関係を維持するなど、欧州大陸との歴史的な「近接性」もあるかもしれない。

スコットランドのある世論調査専門家は1月、14年の住民投票で独立反対に投じた親EU派が、ブレグジットを受けて独立支持に転じる傾向を指摘。さらに、独立への態度を決めかねている人々は「(離脱後の)英EUの通商交渉が順調なら独立反対で、交渉不調なら独立賛成になるのでは」と推測した。9月中旬現在、通商交渉は行き詰まっており、来年1月に事実上の「合意なき離脱」となる可能性が日に日に強まっている。

加えて、コロナ禍で英政府と一線を画した対応を取るスコットランド自治政府に、住民の支持が集まる。5月のある世論調査では、スタージョン自治政府首相のコロナ禍対応を「良い」とする人が82%で、ジョンソン英首相の30%を引き離した。7月のある調査では独立賛成は54%と反対を上回った。

追い風を受けるスタージョン氏率いる独立派のスコットランド民族党は来年5月の自治議会選で大勝しそうな勢いで、そうなれば再度の住民投票を求める声が強まるのは必至。来年は英国の「分裂」の可能性が論じられる熱い年になるかもしれない。(2020年10月、欧州総局