「出生地陰謀論」の再燃:ワシントン 古本陽荘

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米大統領選で民主党の候補指名を受けたジョー・バイデン前副大統領が、副大統領候補に選んだのは黒人女性のカマラ・ハリス上院議だった。しばらく前から「最有力候補」と言われており、8月11日の発表時に驚きはなかった。もう一つ、起きるであろうことが、あっという間に起きた。ジャマイカ系黒人の父とインド系の母を持つ移民2世のハリス氏の法的立場の正当性に関する陰謀論の出現だ。

ハリス氏は、西部カリフォルニア州オークランドで生まれた米国人だ。合衆国憲法修正第14条は、米国で生まれた人は、米国人だと明確に定めている。両親が合法的に滞在し、米国で生まれたハリス氏が米国人であることに疑いの余地はない。

にも関わらず、8月12日のニューズウイーク誌(電子版)は、ハリス氏の両親は「一時的な滞在者」に過ぎず、「ハリス氏の米国市民権には疑問がある」と主張したジョン・イーストマン氏という保守系弁護士のコラムを掲載した。このコラムはトランプ大統領の支持者らの間で拡散した。そして、トランプ氏は13日の記者会見で、「彼女に資格はないという話を今日になって聞いた」と明言する。「それが正しいかどうかは分からないが」と断ったが、「あれを書いた弁護士はとても優秀な人だ」と主張し、この説が真実だと信じているかのような印象を与えた。

トランプ氏は、オバマ前大統領の出生地が「ケニアではないか」という陰謀論に乗っかり、ハワイで生まれた証拠を出すよう求め続けた。こうした陰謀論に飛びつく人たちが、自らの支持に回ることを期待したものだった。

バイデン氏が、「ハリス副大統領候補」を発表してからの24時間で、バイデン陣営には2600万ドル(約27億円)の献金が集まった。トランプ氏が、敵の勢いを止めようと躍起になっているのは疑いようがなく、出生地主義を疑う説に乗ろうとしたのも、その一環だろう。ただ、米国社会には「陰謀論はうんざり」という雰囲気もある。ハリス氏の陰謀論については、改選を迎える共和党議員から「きっぱり否定すべきだ」という声が上がっているが、トランプ氏にはまだ、否定する考えはないようだ。(2020年9月、北米総局