動けない駐在員 上海・工藤哲

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「日本にいる我が子に会えないのがつらい。スマートフォンの画像を通した会話だけではしんどくなってきた」。北京に駐在する知人が最近、こう嘆いた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で冬に妻子を日本に戻して長い時間が経つ。単身生活も慣れたはずだが、声の張りが衰えている。上海や北京では、こうした悩みがあちこちで聞かれる。

ある駐在員の男性は、妻子を日本に戻したが、既に家を引き払ったので地方都市の彼の実家に。妻は子の世話に追われる一方、慣れない実家に気を遣い「何とかして」とショートメールが夫に連日送られる。

彼も何とかしたいが、一度帰国すれば14日の隔離が必要で、中国の入国にはビザの再申請が必要だ。中国の邦人の間では「日本に戻る=仕事のビザをあきらめる」と受け止められる。昨年のような一時帰国はなかなか難しい。

上海やその周辺の省の日系商工クラブなどで作る「華東地域日商俱楽部懇談会」の6月中旬のアンケートでは、駐在員がすぐにでも渡航させたい妻子や夫の数は計約1700人近く、隔離がなくなれば渡航させたい家族も含めると2700人を超えた。

駐在員からは▽駐在員が一時帰国できず不安・ストレスがたまりつつある。家族と会える機会を計画できない状況を早く解消してほしい▽高齢の親の介護が必要だが日本に帰国できない▽上海―福岡直行便の就航を希望する――などの苦悩が寄せられた。

懇談会が7月7日に公表したアンケートでは「早期の往来再開」への要望がさらに強まった。安全性を確保したうえで、隔離措置の緩和や手続きの簡素化を求める声が圧倒的に多い。「日本の薬も満足に手に入らない」といった切実な声もある。

上海の外交関係者は「他国を見ながらビジネス、さらに留学、観光へと緩和対象が広がるだろう」と見通す。だが「そろそろ」と期待した矢先に新たな感染拡大が報じられ、そのたびに落胆が広がる。

往来の緩和は当初「夏休みごろ」という話もあったが、秋に予定していた交流行事も延期になり始めた。駐在員は長期間、無意識の緊張を強いられている。直接会うのが難しい中、日本からの気軽な「声かけ」や「雑談」がますます大切になっている。(2020年9月、上海支局

華東地域日商俱楽部懇談会のアンケートに寄せられた日系企業関係者からの切実な声=上海市内で2020年8月8日、工藤哲撮影