新たな「ホットスポット」:ロサンゼルス 福永方人
福永方人P「優等生」がみるみるうちに転落していった。新型コロナウイルスの感染者数が7月下旬に米東部ニューヨーク州を上回り、全米最多となった西部カリフォルニア州のことである。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、この記事を書いている8月16日時点でカリフォルニア州の感染者数が約62万4000人、ニューヨーク州は約42万6000人と、その差は20万人近くに広がっている。カリフォルニア州は3月19日に全米で初めて州全域に外出禁止令を出し、感染拡大を比較的抑え込んできた。人口は全米最大の約4000万人で大都市も多いが、5月初めの感染者数は約5万人で、人口10万人当たりの感染者数は全50州で30番目以下だった。一方、当時すでに感染爆発が起きていたニューヨーク州の感染者は30万人を超えていた。米メディアでもカリフォルニア州の対応を評価する論調が目立った。その頃は、両州の立場が逆転する日が来るとは夢にも思わなかった。

だが、州が5月8日から外出禁止令を緩和し、段階的に経済活動を再開させると、6月下旬から感染者が急増。ウイルス検査数が増加したこともあり、7月以降は1日当たりの新規感染者数がたびたび1万人を超え、最多記録の更新が続いた。州は慌てて7月13日にレストランの屋内飲食やバー、理美容室などの営業停止を再び命じたが、感染拡大に歯止めがかからない。ロサンゼルスで美容室を経営する男性(35 )は「政府の失業手当だけでは持たない。この状況がいつまで続くのか」とため息をつく。

州人口の約4割を占める中南米系の感染率が特に高いが、在宅勤務ができない現場仕事に就き、大人数で密集して暮らす人が多いため、どうしても感染が広がりやすい。一方、保守派を中心にマスク着用を拒む人がいるほか、若者らが禁止されている大規模なホームパーティーを開く例も相次ぎ、当局は対応に苦慮している。

カリフォルニア州に先駆けて経済再開に踏み切った南部のフロリダ州やテキサス州も感染者が急増し、新たな「ホットスポット」になっている。人々の生活様式の変化と経済活動の両立が求められるコロナ対策は本当に難しい。(2020年9月、ロサンゼルス支局

新型コロナウイルス対策で店内での飲食が禁止されているため、道路にテラス席を設けるレストランが少なくない=米西部ロサンゼルス近郊で8月28日、福永方人撮影