死亡リスクが高い民族的少数派:ロンドン 服部正法

外信部デスク 服部正法新型コロナウイルス感染による死者数が欧州最多の英国で、介護施設に入居する高齢者の死亡率の高さが問題視されている。ロンドン政治経済学院(LSE)のチームの分析では、施設入居者全体の5・3%がコロナ感染(疑い例を含む)で死亡、死亡率はドイツ(0・4%)の13倍にも上る。

「新型コロナ感染だなんて、それまで誰もそんなことを言わなかったから、聞いてショックを受けた」。父親のアーサーさん(98)を亡くしたイングランド東部ノーフォーク州のジョン・ウィットビーさん(72)が、検視官からアーサーさんの死因を聞かされた時の驚きをそう語った。

ウィットビーさんによると、3月末、アーサーさんの入居する施設スタッフからアーサーさんが体調を崩したと電話で知らされた。容体が悪化したためアーサーさんは4月3日に病院に搬送されたが、翌日には施設に戻った。しかし、その後病状は悪化し、同9日に亡くなったという。数日後、ウィットビーさんは検視官から死因として新型コロナ感染と慢性閉塞性肺疾患を告げられた。施設に問い合わせたウィットビーさんに対し、施設関係者はコロナ感染について何も聞かされていないと答えたという。その後、ウィットビーさんは他の入居者関係者から、アーサーさんの死後、コロナ感染が確認された2人を含む入居者11人が死亡したと聞いた。

英国では3月17日、病院から退院が可能と判断された患者を速やかに退院させるべきとする指針が出された。コロナ感染者の急増に備えて病院の病床確保を最優先にしたためとみられる。このため、退院して介護施設に戻る多くの施設入居者に対してコロナ感染の有無を確認する検査が行われなかったとみられている。施設に戻る高齢者に対する検査が必須となったのは4月15日。それまでに施設入居者の間に感染が広がったようだ。

英国でのコロナ感染による死者数は4万6000人以上だが、英国家統計局のまとめでは、コロナ感染で死亡した施設入所者は1万9000人以上(イングランドとウェールズ、疑い例を含む)に上る。当局の方針が多数の高齢者の死を招く一因となったとの批判が上がっている状況だ。(2020年9月、欧州総局