駐日大使インタビュー⑤ ラオス人民民主共和国

交通網整備でインドシナの中心に
質の高い日本の投資を歓迎

ラオス ヴィロード・スンダーラー駐日大使

毎日アジアビジネス研究所がアジア、アフリカの新興国からの駐日大使に、自国の経済的な魅力や投資へのアドバイスを聞く「大使インタビュー」シリーズ。今月は、交通インフラの整備が進み、中国やタイからの製造拠点の移転が相次ぐインドシナ半島の内陸国ラオス。ヴィロード・スンダーラー大使に聞いた。【毎日アジアビジネス研究所・西尾英之

コロナ封じ込めに成功

――ラオスの新型コロナウイルス感染の状況はどうですか?

大使 国内での感染確認患者はこれまでに20人(8月10日時点)で、ASEAN各国では最も少ない数です。早い段階から政府は感染拡大の防止に取り組み、封じ込めに成功しています。しかし世界的な景気後退からは逃れられず、投資や貿易の縮小、観光客の減少といった悪影響を受けています。

投資は成長の原動力

――ラオスは1980年代後半から経済改革を実施して外資を導入し、今世紀に入ると毎年6%を超える高い経済成長率を維持してきました。これまでは自然条件を生かした電力開発が中心でしたが、今後の成長戦略を教えてください。

大使 88年に海外直接投資(FDI)の受け入れを開始し、同時に国内投資も増えてきました。FDIは我が国の経済成長の推進力です。中国、タイ、ベトナム、マレーシアなどが主な投資国で、天然資源への投資ブームを背景に発電分野への投資が全体の31%を占め、続いて鉱業20%、農業13%、サービス産業9%の順です。

国内外の投資をさらに誘致するために、競争力を高め、輸出、所得向上、教育と労働者のスキル向上、雇用創出、貧困削減に取り組む必要があります。政府が現在力を入れているのは、農産物加工、ロジスティック、経済特区(SEZ)の製造業、観光業やスポーツ分野、職業訓練などの教育分野です。

――日本からの投資はどうでしょう。

大使 日本はASEANの域内先進国であるインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイに投資し、大規模な製造拠点と販売市場を築いてきましたが、現在では労働コストが安く労働力と天然資源に恵まれたカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムにシフトしています。日本企業はこれらの国に新たに急成長市場が形成されるのを待っている状態です。

ラオスは特に日本の中小企業にとって魅力的です。多くは日本企業のサプライヤーであり、既存のタイの工場から生産を移転させてきています。日本企業は検討には時間をかけますが、一度投資を決定すると長くその国と関わり続け、地元企業や従業員に対し実務研修や技術移転を提供し「パートナー」という態度で接します。環境や企業の社会的責任についても取り組みます。私たちは、日本からの投資は非常に質の高いものだと考え、強く歓迎しています。

――日本企業の進出状況は?

ラオス国内の経済特区(SEZ)=政府投資計画省のホームページより

大使 ラオスには全国12カ所の経済特区(SEZ)工業団地があり、このうち5カ所に50社の日本企業が進出しています。首都ビエンチャン近郊のSEZである「VITAパーク」に進出した第一電子産業は300人、南部サワンナケート県にあるタイ国境から数キロの「サワナセノSEZ」に進出したニコンは、700人を超える雇用を創出しています。SEZに進出した企業は関税や所得税非課税、長期の土地リースやワンストップサービスなどの優遇措置を受けることができ、政府の投資計画省は投資家、特に日本の投資家のために常に協力と支援を提供します。

道路・鉄道、周辺国結ぶ

――東西南北を結ぶ交通網の整備が進んでいます。内陸国であるラオス経済にどのような変化をもたらしますか。

大使 国を縦断、横断して隣接国と結ぶ南北回廊、東西回廊の整備が進み、中国から首都ビエンチャンまでを結ぶラオス中国鉄道も、来年2021年中に完成する見通しです。また「サワン・ラオ・パオ鉄道プロジェクト」は南部でタイ、ラオス、ベトナムを結び、3国間の貿易を容易にします。ラオスは内陸国から、陸路で直接周辺国と結ぶ輸送ルートの中心となり、国内の行き来も改善されて社会経済開発のみならず、民間部門の成長を支えていくことでしょう。ラオスへの投資に関心がある企業の皆さんは、どうぞ大使館か政府投資計画省にコンタクトしてください。

■大使館メールアドレス(laoembassytokyo@gmail.com)、電話03・5411・2291、ファクス03・5411・2293

■ラオス政府投資計画省ホームページwww.investlaos.gov.la)、電話ラオス+856・21・217012、ファクス+856・21・215491

ラオス政府投資計画省ホームページ
ヴィロード・スンダーラー大使
(Ambassador Mr.Viroth SUNDARA)

1961年ビエンチャン生まれ。1981年から87年、旧ソ連のレニングラード大学(現サンクトペテルブルク総合大学)在籍。94年駐タイ大使館2等書記官。98年日本国際問題研究所研究員。2001年駐豪州大使館1等書記官及び代理大使。外務省経済局長などを経て17年1月、駐日特命全権大使に就任。