抗議デモ現場で触れた心の叫び:ワシントン 古本陽荘

ŒÃ–{—z‘‘@–{ŽÐˆõ@­Ž¡•”@m‹LŽÒ‚̖ځn米中西部ミネソタ州で黒人男性が白人警官により首を押さえつけられ死亡した事件が起きたのは5月25日。その時点で、まさか首都ワシントンでも暴動騒ぎになるとは思いもよらなかった。ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルスといった全米の大都市で略奪や放火が相次いだ。そして、治安維持にあたる当局側と抗議デモに参加する市民との対決構図が数日、続いた。

だが、抗議デモは平和的な抗議に変容し、やがて治安部隊も現場から引いていく。いろいろなドラマがあったのはこの合間の期間だったと思う。6月1日に、トランプ大統領が「力による制圧」の必要性を強調し、ホワイトハウス近くの平和的な抗議デモを強制排除したのもその期間だった。

私が目の当たりにした衝撃的な場面はその2日後だった。ホワイトハウスに近づく道路を封鎖するために警察とワシントンDC の州兵が一列に並んでいた。日は高く、抗議のために集まる人もまばらな時間帯だ。一人の若い黒人女性がその並んだ治安当局の前に座り込んでいた。入れ墨のある右手の拳を高く掲げ、抵抗の意志を示しながら、語りかける。ささやくような言葉で、何を言っているか近くでもよく聞き取れない。だが、おえつに近い言葉を発し続け、ずっと涙を流している。やっと聞き取れた言葉があった。「あなたは強い男でしょ。なんでそっ
ち側にいるの。こっち側の人でしょ」。

視線の先にいたのは数人の黒人州兵だった。女性は延々とこの調子で語りかけた。その静かな抗議の姿は人の心の奥にすっと入っていき、これは頭で考える問題ではなく、心で感じる問題だと訴えているようだった。

州兵の黒人男性たちは、微動だにしなかった。ヘルメットと一体化した強化プラスチックのカバーで顔はよく見えなかったが、視線を女性に向けることはなく、遠くを見ていたように見えた。女性に目を向けることができなかったのかもしれない。

黒人州兵たちはそこに立ち続けることはできた。しかし、もしこの後「抗議デモを鎮圧しろ」と命じられたら、動けただろうか。非暴力で抵抗することの力を目の当たりにしたと感じた。(2020年7月、北米総局