死亡リスクが高い民族的少数派:ロンドン 服部正法

外信部デスク 服部正法
欧米での新型コロナウイルス感染では、人種や民族によって重症化率や死亡率に差異があることが分かってきた。英国で注目を集めたのは、BAME(Black Asian and Minority Ethnic=黒人、アジア系、その他の民族的少数派)と呼ばれる人々の重症化率・死亡率の高さだ。イングランド公衆衛生局の報告書によると、白人と比較するとバングラデシュ系が約2倍、他のアジア系や黒人はそれぞれ10~50%程度、死亡リスクが高い。

なぜBAMEの死亡リスクが高いのか、明確な答えはない。専門家は▽糖尿病などの併存症がある人の割合が高い▽多世代の家族が狭い家に同居することが多く、感染が広がりやすい▽公共交通機関や生活必需品を扱う商店などの「エッセンシャルジョブ」に従事する人が多く、感染リスクが高い--などを要因として指摘する。「究極」のエッセンシャルジョブとも言える医療従事者も、BAMEがその人口割合以上に多くを占める。住環境や職業に着目し、BAMEに貧困層が多いことが被害拡大につながっていると考える向きも多い。

だが、貧困と結びつけられにくいグループでも甚大な被害がささやかれている。英国のキプロス系住民だ。ロックダウン(都市封鎖)下、ロンドンで発行されているキプロス系住民向け新聞「パリキアキ」はキプロス系の感染状況を詳細に報道。独自集計してきた同紙のマイケル・イアクミ記者によると、約35万人のキプロス系の死者数は310人(5月末段階)にもなるという。この数字が正しければ死亡率は極めて高い。

イアクミ記者は私の問いに、ロックダウン前に開かれた葬儀や結婚式、教会行事などに大勢に人々が集まったことで感染が広がった可能性を指摘。キプロス本国のある専門家は、併存症を要因の一つとして示唆した。だが、本当にそれらが被害拡大の原因なのか、今のところはっきりしない。

一方で人口約120万人のキプロス本国の死者は18人(6月中旬段階)にとどまる。アジアと欧米でなぜこれほど死亡率が違うのか、世界が頭を悩ましているが、つくづく新型コロナについては分からないことばかりだと思う。(2020年7月、欧州総局