懸念される感染2波と食糧難:ロンドン 服部正法

外信部デスク 服部正法
新型コロナウイルス感染が猛威を振るった欧州でも感染は落ち着き、少しずつロックダウン(都市封鎖)解除の動きが出てきた。死者数がイタリアを抜いて欧州最悪となった英国でも、ドイツなどには遅れをとっているものの、ロックダウン緩和の道筋が見えてきた。

5月中旬の段階でまだレストランやパブはおろか、衣料品店や床屋なども営業再開しておらず学校も基本的に休校のまま。それでも政府による段階的な社会活動再開の見通しを見ると、気分は悪くない。

昨日はロンドン中心部の支局のそばで、行きつけの大手チェーンのカフェが約7週間ぶりに「持ち帰り」のみ再開したのを見つけた。早速軽食などを手にとってレジに向かい、感染防止用の透明のアクリル板の向こうの店員さんに、「再開してくれて、うれしいよ」と思わず話しかけてしまった。

前代未聞の都市封鎖を経験したのだから、緩和に伴い高揚感が出るのは否めない。この程度でも心が少し浮き立つのだから、レストランやパブが開いたら、どうだろう。相当うれしくなるのではないか。高揚感自体は悪いこととは思わないが、そのとき、何が起きるかと考えると少し怖くもなる。

今回のロックダウンは、人と人の接触機会を強引に減らすことで感染拡大を止めようとしたもので、確かにこれによって感染はいったん収束したように見える。だが、だとすれば感染の「第2波」がやってくるのはほぼ確実だ。ワクチンや治療薬がないまま、高揚感とともに人との距離を取る「ソーシャル・ディスタンシング」が崩れれば、また感染が広がる可能性は大きい。1918年の「スペイン風邪」のパンデミック(世界的感染爆発)では、第1波に比べ第2波の死者数の方が多かった。

別の危機も今後やって来る可能性がある。感染拡大対策としての移動の禁止によって、外国人労働者に依存してきた欧州各国の農業では人手不足が深刻化しており、野菜や果物が収穫できないまま大量に野ざらしとなる恐れが出ている。また、ロシアなどの食糧生産国が国内での不足を避けようと輸出に制限をかけている。世界的に食料不足が進行することが予測されているのだ。高揚感に包まれ過ぎて、「第2波」や食糧難といった危機から目をそむけないようにしたい。(2020年6月 欧州総局