「対中強硬」世論が奏功した台湾のコロナ対策 台北・福岡静哉

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台湾の新型コロナウイルス対策は内外の評価が高い。特筆すべきは初動の速さだ。中国当局が感染の発生を認めた2019年12月31日の段階で、台湾当局は武漢からの直行便の全乗客に対し検疫を始めた。1月下旬には大半の中国人の入境を禁止する厳しい措置を打ち出した。台湾中央研究院の邱文聡副研究員は「中国に遠慮する必要がない政治環境があったことは大きい」と指摘する。

背景には台湾世論の変化がある。中国の習近平国家主席が19年1月、「1国2制度」による台湾統一を強く打ち出したことに対し、台湾では強い反発が起きた。さらに1国2制度下にある香港で起きた大規模デモは、「明日は我が身」と台湾人の中国に対する警戒感を強めた。

民進党の蔡英文総統は内政の混乱などで支持率が低迷し、18年11月の統一地方選では対中融和路線の野党・国民党に惨敗を喫した。習氏の演説前までは「蔡氏が2020年1月の総統選で勝つことはあり得ない」という見方が主流だった。だが世論が「反中」に強く傾いたことで蔡氏に追い風が、国民党には逆風が吹いた。支持率が急激に回復し蔡氏は総統選で圧勝した。

台湾は中国に経済的に依存する構造から抜け出せていない。世論の対中姿勢は「強硬」と「融和」の間で揺れていることもあり、民進党と国民党は8年ごとに政権交代を繰り返してきた。コロナ問題は、ちょうど世論が最も「反中」にふれている時に起きた。

中国は台湾経済に打撃を与えるため、国民党政権時代に急増していた中国人観光客を一気に減らしていた。このため中国人の入境を禁止する際に観光業への打撃を最小限に抑えられた。邱副研究員は「今が国民党政権だったら、果断な措置を取れたかどうか大いに疑問だ」と指摘する。

コロナ対策が評価され、蔡政権の支持率は16年の就任時と同水準まで回復した。ただ台湾世論は変化が激しく、有権者の目は厳しい。「少しの失敗が支持率の急落を招く」。そんな恐怖感が蔡政権のコロナ対策に緊張感を与えていると感じる。(2020年5月 台北支局