不安漂うバンコクと周辺国 バンコク・高木香奈

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私の住むタイでは3月26日に非常事態宣言が発動され、全土で生活必需品を除く主要施設が営業停止した。4月に入り午後10時から翌4時までの外出を禁止する夜間外出禁止令も出された。バンコクでは反政府活動との衝突激化を受けてこれまで何度も非常事態宣言が出ており、今回も持ち帰りやデリバリーに切り替えて活況を呈している飲食店もあり柔軟な点も垣間見える。それでも売り上げへの影響は相当で、感染とその影響への不安で緊迫している。

支局のあるビルの同じフロアに入居する5社ほどのうち、通常勤務と、在宅勤務に切り替えた社が半々。通常勤務の私は先日、いつもより遅くに退社すると、周囲は暗く車が猛スピードで走っていた。外出禁止開始直前の午後8時から9時過ぎは交通事故が多発しているとの報道も見た。体感治安は悪くなったが、医療水準が比較的高いことが大きいのか、周囲の在留邦人の大半はそのままバンコクで暮らしている。

今気になるのは報告数以上に感染が蔓延しているといわれる周辺国の状況だ。バンコクの店では最近消毒用アルコールジェルがだいぶ出回るようになり、布マスクなら駅の売店で手に入るので、いつも世話になっているヤンゴンとプノンペンの現地助手に状況を尋ね、もしよければ少し送りますとメールを送った。ヤンゴンの助手から「入手が難しくとても高いので、本当に助かる」と返信があった。彼女からは少し前、家族に軽い新型コロナ感染の兆候があるので看病をすると連絡があり、不安な様子が伝わってきた。

だがバンコクから発送しようという段になり、業者に内容物を伝えると配達を拒否された。タイではマスクとアルコールジェルは政府統制品になり、たとえ少量で個人間のやりとりでも輸出は法律で禁止されているとのことだった。もう2社に聞いても同じ回答で、ヤンゴンの助手にはよく調べず申し出たことを謝った。プノンペンの助手は「まだ大丈夫」とのことだったが、現地の報道に接するほど、事態は深刻なのではないかと思えてくる。(2020年5月 アジア総局