警戒が解けない街 上海・工藤哲

H“¡“N@–{ŽÐˆõ@’†‘‘‹Ç@m‹LŽÒ‚̖ځn新型コロナウイルス感染を防ぐためのマンションやビル入り口の体温計測と、外出時のマスク着用。こうした状況が1カ月以上も続き、既に慣れてしまった。この原稿を書いている3月中旬も空気中の感染防止のため職場のビルの暖房が使えず、市内の駐在員は寒さに耐えながら業務を続けている。

支局近くの昼時の飲食店でも、入り口でマスク姿の従業員が検温し、客は手をアルコール消毒する。中は空席が多い。目立つのは同じ職場らしき日本人駐在員のグループだ。「まとまった中国人客がまだ少ない。誰がウイルスを持っているか分からない。中国人は駐在の日本人よりも感染への警戒心が強いのでは」。上海に長く住む知人はこう話す。

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市民の移動経路特定のため、スマートフォンでの登録が呼びかけられるQRコード=上海市内の地下鉄2号線の車内で2020年2月28日、工藤哲撮影

上海では2月下旬に入り、患者の増加は抑えられてきた。市は既に企業活動の再開を強調しているが、地下鉄の乗客も通常の3分の1以下だ。地下鉄やバスを避けてマイカー通勤にする人も多い。

当局側が打ち出すルールは解除されるどころか、むしろ増えている。2月28日からは地下鉄のそれぞれの窓にQRコードのシールが貼られた。これにスマートフォンをかざすと、乗っている車両の番号が表示される。この登録によって、仮に感染した場合には実名やルートをたどれる仕組みだ。市民に登録を奨励している。

また取材で市内の工場に入る際は、中国聯通スマートフォンの「ビッグデータ伝染病防止行程照会サポート」の事前登録が求められた。電話番号を入力すると、過去14日に滞在した都市がスマホに表示される。スマホを持ち歩く限り、所在が特定され移動の虚偽報告はできない。

さらに上海市は3月3日、日本からの入国者に14日間、自宅などでの経過観察を求めると日本側に通知した。こうした度重なる規制も市民がまだ気を緩められない一因だろう。

街を歩けば、ビニール袋で手や全身を覆う人も目にする。スマホには連日、外出を控えることなどを勧めるメールが届く。地下鉄ではマスク着用を求める電光掲示板が繰り返し表示されている。

いつになったら旧正月(春節)前の状況に戻り、市民の警戒心が解かれるのか。先はまだ見えない。(2020年4月 上海支局)