若者を引き付ける「社会主義者」:ロサンゼルス 福永方人
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大統領選の集会で演説するバーニー・サンダース氏=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで3月1日、福永方人撮影
福永方人Pまるでアーティストのライブイベントに来ているようだった。3月1日、米西部ロサンゼルスで開かれた大統領選の民主党候補、バーニー・サンダース上院議員の集会。会場は1万5000人以上の若者らで埋め尽くされ、本格的な照明機材が設置されたステージでは、伝説的なヒップホップグループ「パブリック・エネミー」などのパフォーマンスもあった。78歳の高齢政治家には似つかわしくない光景だ。国民皆保険導入や公立大学無償化など、革命的な政策を看板にするサンダース氏。演説ではトランプ大統領に加え、保険会社などの大企業や富裕層も腐敗しているとして容赦なく攻撃する。「過激な社会主義者」と批判もされるが、格差社会にあえぐ若い世代からの支持は厚い。一部は“信者”と言えるほど熱狂的だ。トランプ氏が自慢する低失業率や株価上昇など好調な米経済は、若者たちには実感が乏しい。都市部では生活費が高騰し、大学の学費も高いため、進学を諦めたり、多額のローン債務を抱えたりする学生が少なくない。貧困層が多い中南米系は特にサンダース氏を支持する傾向が強い。ロサンゼルス郊外の大学生、クリスタル・ベラドルさん(23)は「保険料が払えないため無保険の友人も多い。家賃やガソリン代などが高すぎて、みんな苦しんでいる」と訴える。また、2016年の前回大統領選に出馬した時からの根強いファンが多い理由については「うそをついたり、主張を変えたりする政治家がいる中で、サンダース氏の姿勢は全くぶれないことも大きい」と話す。サンダース氏は民主党候補指名争いで序盤はトップに立ったが、14州で予備選が実施された3月3日の「スーパーチューズデー」で穏健派のジョー・バイデン前副大統領(77)に逆転されて以降、劣勢が続く。選挙戦から撤退した有力候補が相次いでバイデン氏の支援に回ったことなどが要因だが、背景にはトランプ政権下で広がった“過激疲れ”もあるのだろう。

それでも、サンダース氏が20~30代の政治への関心を高めていることは評価されるべきだ。日本に今、若者を熱狂させれる政治家はいるだろうか。(2020年4月 ロサンゼルス支局)