ウズベキスタンの変革:モスクワ 大前仁

モスクワ大前中央アジアのウズベキスタンで変革の兆しが見えている。四半世紀も続いたカリモフ前政権は閉鎖的な対外政策を敷いたが、2016年に発足したミルジヨエフ現政権は対外関係全般を改善し、経済発展につなげる構えだ。

ミルジヨエフ大統領は19年12月に初めて訪日し、安倍晋三首相と会談した。日本はウズベキスタン南部の火力発電所に効率が高いガスタービンを設置する目的などで、総額1878億円の円借款を決定。エネルギー省のホドジャエフ次官は「日本と戦略的な関係の構築を検討している。ビジネスや技術の側面にとどまらず、学術分野でも協力していきたい」と意欲を示す。

日本政府はウズベキスタン国民に対し在留資格に当たる「特定技能」を与えることも決めた。ウズベキスタンのフサーノフ雇用・労働関係相は、自国の実習生が日本で中小企業経営のノウハウを学ぶことへの期待を示す。一方で近年の日本では外国実習生が過酷な労働を強いられる問題が多発することから、両国が防止策を設置したことも明かした。

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毎日新聞のインタビューに答えるウズベキスタンのフサーノフ雇用・労働関係相=タシケントで2019年12月、大前仁撮影

ウズベキスタンは中央アジア5カ国で最大の人口(3200万人)を誇り、地域の盟主に近い存在だった。しかしカリモフ前政権は他の中央アジア諸国と関係を悪化させたうえに、旧宗主国のロシアとも距離を取った。更に人権状況を巡り、欧米とも関係を冷却化させていた。

しかしミルジヨエフ政権は、中央アジア諸国との首脳会議を主導するなど関係改善に着手。ロシアにも再接近し、ロシアが主導するユーラシア経済連合への加盟を検討中だ。欧州復興開発銀行も10年からウズベク向け融資を停止していたが、国内の経済改革が進んだと判断し、17年に融資を再開した。

中国はウズベキスタン向けの最大の借款供与国といわれている。ただし隣国トルクメニスタンが中国からの借金返済に苦しむ状況を目にして、ウズベキスタンは慎重な対中アプローチを採っている模様だ。国内でも「一つの国とだけ連携したり、衛星国になったりする事態は避けていく」(ホドジャエフ氏)などの意見が目立つ。

もともと潜在力がある国だけに、バランス外交が発展に寄与するのか注目されている。(2020年3月 モスクワ支局)