国際化と大衆化:北京 赤間清広

北京赤間

「日本の料理はどれも大好き。一番のお気に入りは北海道のスープカレーかな」。中国版ツイッター「微博」で活躍するニックネーム「大妮儿妮儿da老师」さんは、24万人のフォロワーを抱える人気グルメブロガーだ。最近のお気に入りは日本料理だといい、微博でも頻繁にその魅力を伝えている。

経済発展で豊かになった中国人にとって「食」への関心はもはや味だけにとどまらない。健康志向が高まり、安全性にも厳しい視線が注がれる中、人気が爆発しているのが日本料理だ。味はもちろん、「ヘルシー」「安全」といった日本料理のイメージが中国の人々の心を捉えているようだ。

中国国内の日本料理店も急増中だ。2013年時点では約1万店だったが、15年には2万3000店に倍増し、米国(約2万2500店)を抜いて国別で世界一になった。現在は約6万5000店に達しており、年間1万店ペースで増え続けている。

進む日本料理の国際化。しかし、北京で10年以上、居酒屋を営んできた日本人経営者は「最近は日本人がまったく関わっていない日本料理店が増えている」と苦い顔を浮かべる。

元々、中国には日本向けに加工・輸出を手がけてきた食品製造業者が多く、日本料理の冷凍・半加工品や調味料が入手しやすい環境にあった。流通網の発展で、新鮮な刺身の確保も難しくない。これらを上手に使えば、日本料理の知識がなくても店を切り盛りできるというわけだ。

安徽省の省都・合肥。取材を終え、市街地を歩いていると「居酒屋」の提灯を掲げた店をみつけた。店員に聞くと、日本料理店だという。メニューには中国語と日本語が併記されているが、日本語部分はどれもめちゃくちゃ。日本人が関わっていないのは明らかだ。試しにホッケ焼きと厚焼き玉子を頼んでみたが、味は悪くない。店内の客はほとんどが中国人。地元の人達に愛されていることが分かる。

最近は中国の一般のスーパーにも刺身や巻き寿司が並ぶようになった。日本料理が一般家庭へも浸透しつつある証拠だろう。「日本人が関わらない日本料理店」の増加は国際化から大衆化へ向かう日本料理の進化の証として前向きに捉えたい。(2020年1月 中国総局)