中露蜜月の現実と対応策は モスクワ・大前仁

モスクワ大前ロシアと中国が共に対米関係を悪化させる中、中国軍は9月中旬にロシアで開かれた大規模演習に2年連続で参加し、両国が軍事分野でも接近している実情を浮き彫りにした。ロシアは2010年から世界一広大な国土を四つの軍管区に区分し、それぞれの軍管区が4年に一度、持ち回りで大規模演習を実施している。今年は9月16日から6日間、中央管区で催された。管内南部が中央アジア諸国に隣接することから、イスラム原理主義によるテロの脅威を想定する内容となった。

今年の演習は上海協力機構(SCO)を構成する8カ国が全て参加し、中国以外にもインドやパキスタン、中央アジア4カ国も名を連ねた。中露の蜜月を際立たせないようにするため、あえてSCOの枠組みを使い、他の構成国も参加させたのではないか、という臆測が流れていた。

国際社会では中国が巨大化していく事態を踏まえ、米国や日本、インド辺りからも「中国封じ込め」を模索する声が聞こえてくる。ところがロシアは最大の友好国である中国に配慮し、政府首脳部、民間の識者のレベルでも「中国封じ込め」の問いを拒絶する傾向が強い。プーチン露大統領は10月初旬、専門家との会合で「中国を封じ込めることは不可能だ。そのような試みをすれば、(その国が)痛手を負うだろう」とクギを差した。そのうえで敵のミサイル攻撃に対する早期警戒システムの設置を巡り、ロシアが中国を支援していることを明かした。

それでもロシアと中国の軍事的な関係は一枚岩まで至っていないようだ。今回のハイライトは、プーチン氏や中国の魏鳳和国防相らが閲見した20日の演習だった。その様子を視察した第三国の武官は次のように指摘する。「ロシア軍は必要以上に強い火力を使い演習していた」。それは中国軍幹部に対し、自国の戦力を見せつけるかのようだった。その背景ではロシアも隣接する中国が巨大化していくことへの恐怖感を抱いていることがにじんできたという。

それでも日本にとって難しいのは、ロシアを自国陣営に引き寄せ、中国から引きはがすような影響力を持っていないことだ。そのため今の日本は中露が軍事的にも接近する「現実」を冷静に受け止めながら、中長期の対応策を考えていくしかないのだろう。(モスクワ支局 2019年11月)

20191007アジア時報、中国軍
中国軍は2018年に開かれたロシアの大規模演習にも参加した=2018年9月、東シベリアのザバイカル地方でオクサナ・ラズモフスカヤ(毎日新聞モスクワ支局助手)撮影