議論を呼ぶ新たな「足」 ロサンゼルス・福永方人

福永方人P米国では大都市を中心に、シェア型の電動キックスケーターがはやっている。日本のシェア自転車などと違い、乗り降りする場所は自由。道端にあるキックスケーターを使い、終わったら通行などの邪魔にならなければどこにでも置き去ることができる。都会の新たな「足」として、欧州でも普及してきている。

利用は簡単。運営会社のスマートフォンアプリを使い、地図上でキックスケーターがある場所を確認し、車体のQRコードを読み込み、ロックを解除。地面を蹴って発進し、ハンドルにあるアクセルとブレーキのレバーで運転する。最高速度は時速約25キロ。乗り終わったらアプリで通知し、料金は登録したクレジットカードで支払う。乗り始めに1ドル(約107円)、以降は1分ごとに10~30セント程度(地域によって異なる)がかかる。

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シェア型の電動キックスケーターで移動する人たち=米西部カリフォルニア州サンタモニカで7月、福永方人撮影

乗ってみると、確かに快適だ。米カリフォルニア州ロサンゼルスのように車社会で鉄道やバスが少ない地域では特に、短距離の移動に便利だと感じる。しかし、車道の端を走るため危険性もあり、車との衝突などによる死亡事故が米国内外で起きている。

走行禁止の歩道を走り、歩行者と接触してけがをさせる事故も少なくない。米疾病対策センターなどの調査によると、10万回の利用につき20人の割合でけが人が出ているという。

また、歩道や私有地に乱雑に放置されるケースも問題になっている。同州サンディエゴのように、指定場所以外に置かれた車体を押収するなどの対策に乗り出した自治体もある。最近はこうした弊害を取り上げる報道が増え、「電動キックスケーターは人々を危険にさらし、公共空間にとって大きな難題になっている」と指摘する都市政策の専門家もいる。

日本でも導入を目指す動きがある。8月31日には福岡市で、米運営会社大手「バード」による国内初の体験試乗会が開かれた。日本では原付きバイクに分類され、公道での走行には運転免許などが必要という。ただ、日本の都市部は地下鉄やバスといった公共交通網が発達しているほか、道路の舗装状況が良く自転車も使いやすい。大流行とはいかないのではないか。(ロサンゼルス支局 2019年10月)