テレビ局に乗っ取られた討論会 ワシントン・古本陽荘

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2020年米大統領選の民主党の指名候補を選ぶためのテレビ討論会が6月と7月に開催された。それぞれに計20人が出席。人数が多いため10人ずつ二晩に分かれて登場した。

初回はNBC系、2度目はCNNが主催したが、いずれも司会者からの質問に対する回答時間は60秒で、反論する際には30秒などと制限された。候補者らは極めて短い時間での発言を強いられ、自らの政策を詳細に説明するのは事実上、不可能だった。

逆に、テレビ局のアンカーたちが狙うのは、候補者同士が言い争う場面だ。しかも、短くて衝撃的な方がいい。翌日以降のニュース番組で繰り返し使えるからだ。

例えば、デトロイトで開かれた7月30日の討論会。クロブチャー上院議員に対する司会者の質問は「ウォーレン上院議員は公的な国民皆保険制度『メディケア・フォー・オール』を支持しない人は単に戦う意志が欠けているだけだと主張しています。あなたは支持していませんね。戦う意欲がないんですか?」。

これに対し、クロブチャー氏は「それは間違っている。私にはもっとよい提案がある」と反論。インスリンが買えずに亡くなったニコルさんという友人の話を持ち出し、医療保険改革の必要性を訴えようとしたが、そんな時間は与えられず司会者は発言を打ち切った。

初回の討論会の後は、人種問題でバイデン前副大統領の過去の見解をハリス上院議員が厳しくただし、バイデン氏が驚く様子が繰り返しテレビで流れた。2回目の討論会の後は、バイデン氏がハリス氏にこの問題で反論する場面やギャバード下院議員がハリス氏の検事時代の判断を批判する場面が何度も放送された。

控えめに言っても候補者たちの主義、主張を引きだそうという場ではなかった。確かに「強い印象を残す候補でなければ、共和党のトランプ大統領には勝てない」という考えは否定できない。だが、視聴率がどれだけ上がり、広告収入につながるかというテレビ局の都合が優先されているとしたら、米国の民主主義はかなり危うい状況にある。(北米総局 2019年9月)