「92年コンセンサス」の行方 台北・福岡静哉

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台湾では親中路線を取る野党・国民党に勢いがあり、2020年1月の総統選で政権を奪還する可能性が出ている。だが中国との交流の基礎である「1992年コンセンサス」が今、国民党の悩みの種となりつつある。

92年コンセンサスは、中台の窓口機関が92年に口頭で確認し合ったとされ「中国と台湾は『一つの中国』に属する」との共通認識を指す。中国共産党はこの「中国」を「中華人民共和国」だと定義する。国民党は「中国」の中身はそれぞれ解釈することで一致したとし、「中国」は「中華民国」だと主張する。この国民党の主張を中国語で「一中各表」と言う。

「中華民国」は、国民党を率いた蒋介石(1887~1975)が総統を務めた一時期、

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国民党本部の玄関には「政権奪還」などのスローガンが掲げられている=
台北市中山区で2019年3月6日、福岡静哉撮影

中国大陸の多くを版図に収めていた。蒋と国民党は、49年に共産党との内戦に負けて台湾に敗走した後も、「中華民国」の領土は台湾を含む「中国」全体だと主張し続けた。このため「一つの中国」は両党の共通点となり得た。2005年、両党が60年ぶりにトップ会談し、92年コンセンサスを基礎に敵対関係解消に向けた協議を進めると合意した。共産党はこれ以降、「一中各表」への批判を控えた。まずは「一つの中国」という共通の土台が優先されたためだ。

国民党の馬英九政権(08~16)は92年コンセンサスを交流の基礎に政治、経済などの交流を進め、中台関係は劇的に改善した。16年に発足した民進党の蔡英文政権は台湾独立志向があるため92年コンセンサスを認めず、対中関係は極度に悪化。下野した国民党は民進党を批判してきた。

だが習近平国家主席(共産党総書記)の台湾政策に関する重要演説(今年1月)は、92年コンセンサスに2回触れる一方で台湾への「1国2制度」適用に7回も言及した。2月下旬には中国で台湾政策を所管する国務院台湾事務弁公室の元副主任、王在希・全国台湾研究会副会長が「習総書記の重要演説の最も重要な点は92年コンセンサスの概念の明確化であり、その核心は『一中各表』ではなく『統一』だ」と国民党を明確に批判した。台湾では、共産党が今後、共産党が言う「一つの中国」を認めるよう国民党に迫るサインだと受け止められている。共産党側の発言と国民党の反応を今後も注視していきたい。(台北支局 2019年4月)

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香港で演説する中国の習近平国家主席(右)。習氏は香港に続き、台湾へ
の「1国2制度」適用に強い意欲を示す=香港空港で17年6月29日、福岡
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