ハイブリッド演説 ワシントン・古本陽荘

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米国の大統領がこれから1年間の国政・内政上の優先課題について年初に議会で説明するのが一般教書演説だ。2月5日夜のトランプ大統領の演説はテレビ各局で生放送された。調査会社ニールセンによると、視聴率は28・0%。最初の中間選挙を終えた同時期のオバマ前大統領の視聴率26・6%を上回った。

メキシコとの「国境の壁」建設の予算を求めるトランプ氏と野党・民主党が対立して連邦政府が過去最長の35日間にわたって機能閉鎖に陥った直後だけに、トランプ氏がどうするつもりなのか、心配して演説に耳を傾けた人が多かったのかもしれない。

当初は、トランプ氏が野党批判を一方的に展開するのではないかという懸念の声もあったが、その最悪のシナリオは免れた。もちろん壁建設の必要性は訴え、民主党への対決姿勢はみせた。

一方で、演説前半では、団結の必要性を訴え、民主党の顔を立てる演出もあった。若い頃に麻薬の取引で終身刑を受けたが出所を認めれた黒人女性がゲストとして呼ばれた。黒人が不当に重い刑を受けることが多いとの指摘から生まれた法律で刑を軽減された女性だ。この法律は与野党の協力で昨年暮れに成立した。むしろ反対意見は共和党に多かった。

下院では多くの女性議員が昨年11月の中間選挙で当選した。トランプ氏は演説で「女性議員の数は過去最多だ」とたたえた。女性議員が多いのは民主党が議席を増やしたのが一番の要因で、中間選挙は共和党の「大勝利」と豪語したトランプ氏だけに異例の発言と受け止められた。

問題は、融和姿勢で党派を超えた団結を訴える一方、壁建設などでは一歩も譲らない対決姿勢を示すことの整合性が取れていないことだ。異なる主張が矛盾したまま内在する「ハイブリッド演説」と言えよう。トランプ氏の主張と政権幹部の意見との間に隔たりがあり、説明がつかないまま表に出しているというのが実情だろう。

基本的な姿勢で整合性が取れていないにも関わらず、その矛盾を追及する声はワシントンではあまり耳にしない。「トランプ大統領だからね」。その一言で、みんな何となく納得してしまっている。(北米総局 2019年3月)