柔道、剣道、そして弓道 上海・工藤哲

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背丈以上の高さの弓が並び、道着姿の中国人女性に「弓はこうやって持ち、弦を引っ張って射るのです」と教えられた。11月中旬に上海の日本総領事公邸で開かれた弓道の紹介イベント。全日本弓道連盟の高段者や多くの愛好者らが集まった。

中国で弓道を始める人が増え続けている。クラブ「上海正鵠会」は2014年10月に発足し、会員は中国人8人だったが今年は64人にまで増えた。有段者が25人もいる。会事務局委員の野間彰さんによると、武道に興味を持ち、その中で弓道を選ぶ人が問い合わせてくるという。

弓道紹介イベントP
弓道を紹介するイベントで実際に弓を手にする参加者(中央)=上海の日本総領事公邸で2018年11月15日、工藤哲撮影

イベントでは、弓道は歴史的に中国文化の影響を受けていると紹介され、数々の道具が展示された。片山和之上海総領事は「弓道は日本の武道の一つで、柔道や剣道、空手道と比べると国際的知名度はそれほど高くないかもしれないが、06年に広東省で最初の弓道の愛好者団体ができ、その後、北京、浙江省寧波、杭州など各地に設立されたと紹介。「中国でも人気を集めた映画『君の名は。』の新海誠監督は高校時代に弓道をしており、(過去の)作品にも出てくる。(「ツルネ」といった)弓道をテーマにした漫画やアニメの影響もあるのでは」と語った。

ゲーム製作会社に勤める上海の女性(26)は始めて2年半。「元々日本文化が好きで、学生時代に興味を持った。柔道は相手を背負うので重い感じがするし、剣道もやってみたが力不足で、インターネットで探して弓道にたどり着いた」という。負担なく取り組めそうなイメージを抱いていた。

中国人を引きつける要因は他にもありそうだ。長い経験者は、難しさを突き詰めていくと「自分との戦い」だと語る。弓道で重んじられるのは「真善美」の精神であり、矢を放つ時に心の平静や集中力を保つことだ。スマホ漬け生活から一時的に離れられる手段の一つなのだろう。礼節を重んじ、じっくり自分の心と向き合う精神を子供の教育に生かしたい、と考える中国人の親が増えている。

日本発の武道の波は中国で広がる一方だ。柔道には五輪の金メダリストがおり、その後剣道も各地で大会が開かれるようになった。柔道から剣道、そして弓道。ますます中国人は多様化している。(上海支局 2019年1月)