故ブッシュ大統領のメッセージ ワシントン・古本陽荘

ŒÃ–{—z‘‘@–{ŽÐˆõ@­Ž¡•”@m‹LŽÒ‚̖ځnワシントンDCの中心部から北西に車で約20分の距離にあるワシントン大聖堂。第41代大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ(父)氏の国葬が12月5日に行われた。連邦議会に安置されていた遺体が車で大聖堂に運ばれるまで米テレビ各局がコマーシャルなしで生中継した。

ただ、国葬で主役だったのはトランプ大統領だったと言っても過言ではないほど注目された。終始、神妙な面持ちで、どこか場違いな印象がぬぐえなかった。

最後に聖堂入りしたトランプ氏はコートを羽織ったまま。席に座る際に脱ぎ、付き添いの米兵にコートを手渡した。歴代大統領が座る最前列に腰掛ける際、どうあいさつしてよいか戸惑った様子をみせた。隣のオバマ前大統領夫妻とは握手は交わしたが、その奥にいたクリントン元大統領夫妻には手を差し伸べなかった。もっとも、2016年大統領選で激しく争い大統領就任後も批判の矛先を向けているヒラリー元国務長官が真っすぐ前を凝視し、トランプ氏を無視しようとしていることに気がついたためだったかもしれない。

ブッシュ(父)氏の自伝を執筆したジョン・ミーチャム氏は弔辞で、故人の信条について「真実を語れ。他人を責めるな。寛容であれ」と語った。

友人だったカナダのマルルーニー元首相は、ブッシュ政権時代の業績として、北米自由協定(NAFTA)、障害者自立支援法、大気汚染防止法を挙げた。トランプ氏はNAFTAを「史上最悪の取引」と呼び、障害者をさげすむ言動で批判を浴び、気候変動は「信じていない」と断言してきた。

弔辞を読み上げた人たちはトランプ氏を批判する意図はなかったかもしれない。だが、故人の業績をたたえれば、現政権批判に聞こえてしまうところがトランプ政権の異様さをかえって浮き彫りにした。

トランプ氏に葬儀に出席するよう求めたのは生前のブッシュ(父)氏本人だったという。大統領らしさについて考え直して欲しいというメッセージだったのか。いざという時は一つになる米国の姿を取り戻して欲しいという思いだったのか。いずれにしろ、口汚く他人をののしる態度をトランプ氏は改めておらず、故人のメッセージは伝わらなかったようだ。(北米総局 2019年1月)