ハッピーホリデー ロサンゼルス・長野宏美

ロサンゼルス長野 (2)ロサンゼルスは12月でも日中の気温が20度を超え、温暖な日が多い。クリスマスカードの絵柄もサンタクロースがサーフィンをしているものなどを良く見かける。

ただ、この時期に届くカードに「メリークリスマス」の文字があることはほとんどない。大半は「ハッピーホリデー」か「季節のごあいさつ」だ。私が送る時も同様で、クリスマスカードは使わない。メールや顔を合わせて交わすあいさつも「メリークリスマス」より「ハッピーホリデー」が一般的だ。

理由は、クリスマスはキリスト教徒の行事なため、他宗教の信者に配慮しているからだ。近年、政治的な公正さを重視する「ポリティカル・コレクトネス」(PC)の影響で、こうした風潮が進んだ。

トランプ大統領は2016年の大統領選で「メリークリスマスと言えるようにする」と主張し、PCにうんざりしていた人々を喜ばせた。

彼の勝利で若干揺り戻しはあるが、「ハッピーホリデー」は既にかなり定着している。特にカリフォルニア州は多様な人種や宗教の人が暮らすし、ハリウッドの映画産業にはユダヤ系も多い。同じ時期にユダヤ教の祭り「ハヌカ」もあることから、店頭では「ハッピーハヌカ」の文字も見かける。

ハヌカは8日間祝い、毎日1本ずつ、ろうそくに火を灯す。ポテトパンケーキなど伝統的な料理を食べ、子どもは毎日プレゼントをもらえるという。

先日、「ハヌカ」を初めて体験した。テニス仲間の医師、マーガレット(36)が週末にハヌカの晩さんに招いてくれた。彼女はキリスト教徒だが、夫のジェレミー(40 )がユダヤ教徒だという。自宅を訪ねると、「ハッピーハヌカ」の飾り付けの他、クリスマスツリーもあった。他宗教を祝うことに抵抗はないのか聞くと、2人とも結婚して初めて互いの宗教行事を体験でき、楽しんでいるという。

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マーガレットの自宅ではハヌカで使う燭台(右)とクリスマス飾りが両方あった。カードでは「ハッピーホリデー」や「ジョイフル」の言葉が使われていた=米ロサンゼルス近郊で2018年12月8日、長野宏美撮影

それでも、友人や親戚に送るカードの文言は「ハッピーホリデー」を選ぶ。マーガレットは「ユダヤ教の夫の親族にも、キリスト教の自分の親族にも使えるので便利」と話していた。PCを振りかざして「メリークリスマス」を避けるのは行き過ぎだと思うが、無難な言葉は使い勝手が良く、私もすっかり「ハッピーホリデー派」になっている。(ロサンゼルス支局 2019年1月)