蔡英文総統の台湾語 台北・福岡静哉

 

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「ダッゲーホウ!」(皆さん、こんにちは)。9月1日、台湾中部・彰化県で台湾の統一地方選に向けた与党・民進党の選挙集会を取材した際、蔡英文総統は中国語ではなく「台湾語」で演説をした。そばにいた台湾紙記者が言った。「蔡総統の台湾語は流ちょうではないけど一生懸命だね」

どういうことか。まず台湾の複雑な言語事情を説明する必要がある。台湾語は1

蔡英文①
統一地方選の現職候補(右)の応援演説で、台湾語で語りかける蔡英文総統

6世紀以降、主に中国南部・福建省から移住した「本省人」が主に話す言語だ。福建省南部の言語「閩南(ミンナン)語」とよく似ているが、中国語とは全く違う。また台湾では16の先住民族や、漢民族の一支流「客家(はっか)」も独自の言語を持つ。日本統治時代(1895~1945)は日本語教育が行われ、日本語が共通語となった。

蒋介石率いる国民党は第二次世界大戦後、中国共産党との内戦に敗れ、台湾に逃れた。国民党政権は台湾を独裁統治し、今度は台湾人に中国語教育を徹底した。蒋介石と共に来た中国語が母語の「外省人」がエリート層の多くを占めた。国民党政権は中国語以外の言語を禁じたが、家庭などでは各言語も使われていた。80年代の民主化以降、言語の禁制は解かれたが、学校教育は今も中国語だ。

本省人が主に担った民主化運動から生まれた歴史がある民進党は、台湾語を大事にし、支持者には本省人が多い。蔡氏自身は本省人だが、外省人が多い台北市中心部で育ち、台湾語を使う機会が少なかったという。それでも演説では台湾語を重視する姿勢を示したというわけだ。

蒋介石以来の伝統を受け継ぐ最大野党・国民党は中国語を重視する。だが民主化から30年が過ぎ、変化も現れている。元々、外省人は人口の2割に満たない少数派だ。若い世代は台湾語を操れる人が増えた。かつて台湾語を禁じた国民党も、今では選挙集会などで候補者らが台湾語を使う場面が頻繁に見られる。

蔡英文②
支持者らの握手攻めに遭う蔡英文総統(中央)。中部や南部の市民は特に台湾語を多く使うため、有権者との会話でも必須だ

蔡政権は9月、公共テレビで台湾語専用チャンネルを来年、創設すると発表した。将来的には台湾語が使われる比率が今より高まるかもしれない。だが台湾語は中国語に比べて習得がはるかに難しいとされる。外国人記者にとっては悩みの種が増えそうだ。(台北支局 2018年11月)