サウジ記者失踪 ワシントン・会川晴之

 

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サウジアラビア出身で米国在住の著名ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏(60)が10月2日、トルコ・イスタンブールのサウジ領事館を訪ねて以後、行方不明になった事件が国際社会を揺さぶっている。本稿執筆時点では、事件の全容は解明されていない。だが、カショギ氏が領事館で殺害された可能性が高まり、サウジや同盟関係にある米国は事態収集に追われている。

カショギ氏は、国際テロ組織「アルカイダ」の指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者をインタビューした敏腕記者として知られる。かつてはサウジ情報長官の顧問を務めるなど王室とも密接な関係にあった。だが、サウジの実権を握るムハンマド皇太子批判を始めたことで安住の地を追われる。逮捕を恐れたカショギ氏は昨年、米国への移住を決断、米紙ワシントンポストに寄稿を続けてきた。

だが、家族や友人を捨て、異国で過ごす事実上の亡命生活は予想以上に厳しかった。今年5月、講演のために訪れたイスタンブールで、トルコ人大学院生のハティス・ジェンギズさん(36)と出会い、2人は恋に落ちる。 「歳の差がありすぎる」。そう心配するジェンギズさんの両親を説得するため、イスタンブールに新居も手当てした。危険を承知でサウジ領事館を訪れたのは、結婚に必要な書類を整えるためだった。

今回の事件の特徴は、外交特権がある領事館が犯行現場となった可能性があるという特異な内容に加え、トルコ政府がメディアに極めて詳細な情報を提供し続けている点にある。トルコ政府高官は、当初からカショギ氏が「領事館内部で殺害された」と断言。カショギ氏が「殺害された」時刻に、治安関係者を中心とする15人のサウジ人が本国からトルコ入りして領事館に滞在していたことも明かした。その1人は、内務省所属の人体解剖の専門家である点が意味深い。15人は、館内から黒い箱を持ち出し、その日のうちに車で空港に向かい出国した。

トルコ当局はその後、領事館内部のビデオや音声が存在すると示唆、一部を地元メディアに提供したと伝えられる。秘密裏に盗聴器などを設置したのか、それとも内部協力者からの提供なのか。目を離せない展開が続いている。(北米総局 2018年11月)