W杯、影の主役 北京・赤間清広

北京赤間

フランスの優勝で幕を閉じたサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会。日本も決勝トーナメント進出で大いに盛り上がったが、フィールド外で存在感を発揮したのが中国だ。

中国不動産大手、大連万達集団(ワンダ・グループ)が最上位スポンサー「FIFA(国際サッカー連盟)パートナー」になるなど、中国企業7社が大会スポンサーに就任。フィールドを取り囲む広告看板は「蒙牛乳業」(乳業大手)、「帝牌」(服飾大手)といった中国企業で埋め尽くされた。

巨大な国内市場を背景に急成長してきた中国企業だが、海外では知名度が低い。世界が注目するW杯は「国際的なブランド力を獲得する絶好の機会」(広告代理店)というわけだ。大会中、中国企業が支払った広告料は8億㌦以上と言われ、国別ではダントツの世界一。一方で日本企業は今回、1社もスポンサーに入っておらず、経済の勢いの差を見せつけられた格好だ。

人も押し寄せた。期間中、観戦のためロシア入りした中国人は10万人超。中国ではビールを片手に、ザリガニ料理をつまみながらスポーツを応援するのが定番スタイルとなっており、サッカーファンの大移動に合わせ、ザリガニ養殖が盛んな湖北省からは連日、ロシアに向け大量のザリガニが出荷された。

元々、中国のサッカー熱は高い。国内リーグでは毎年、世界的なトップ選手の加入と巨額移籍金が話題となり、中国企業による欧州有力チーム買収も相次いでいる。習近平国家主席は大のサッカー好きとして知られており、政府も「サッカー強国」を目指す国ぐるみの強化策を打ち出している。

しかし、肝心の中国代表はアジア予選をなかなか突破できずにいる。W杯の本大会に出場したのはライバルの日本、韓国が予選を免除された2002年の日韓大会の1度だけ。いかに中国といえども、選手育成だけは一朝一夕には進まないようだ。

「ロシア大会は中国一色だね。代表チームを除けば」。北京の飲み屋で一緒にW杯をテレビ観戦していた中国人の友人は皮肉まじりにこうつぶやいた。チャイナマネーではなく、プレーで中国が話題を集めるのはいつになるだろうか。 (中国総局 2018年8月)

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