紙よりデジタル ロサンゼルス・長野宏美

ロサンゼルス長野 (2)米国に暮らして3年あまり。ニュースを読むスタイルがすっかり変わった。ロサンゼルス・タイムズ紙などを購読しているが、紙の新聞ではなく、もっぱらデジタルを通して情報を得ている。

大きな理由が二つある。速報性と情報量の違いだ。デジタルの速報性が勝るのは日本にいた時も同じだが、情報量の違いが大きい。仮に同じ記事が紙とデジタルで読めるとしたら後者を選択する。

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青い文字をクリックするとワインスタイン氏の声明が読めるニューヨーク・タイムズ紙の電子版

なぜか。それは記事に張られたリンクが充実しているからだ。いわば一次資料などを探す窓口として利用している。リンクを通して、他の記事だけでなく、裁判資料や統計などの資料を読むことができる。日本語に比べ、英語の資料を探す方が苦労するので、これは便利だ。

例えば、昨年10月にハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏のセクハラ疑惑を最初に報じたニューヨーク・タイムズ紙の記事(電子版)では、ワインスタイン氏が同紙に送った声明全文や記事に出てくる映画評などを読める。

特にトランプ政権になってからは移民問題などを巡る提訴が相次いでいる。それを伝える記事から訴訟記録にリンクで飛べる点も重宝している。

こうした傾向が強まっているのは、トランプ大統領が「フェイク(偽)ニュース」とメディア攻撃を強めていることに関係している。

米調査報道記者・編集者協会のダグ・ハディックス事務局長(55)は「メディアは透明性や信頼性を高めるため、記事の根拠となる資料を読者が直接読めるようリンクを示すようにしている」と語る。ハディックス氏は「私の人生で最大の政治的変化は、米国で分極化や分断がこれほど進んだことだ。より多くの人が自分の政治的信条でメディアを選び、異なる考えの情報だと信用しない」と指摘する。たとえ正確に報じても「フェイク」や「偏向報道」だと見られがちな風潮の中、揺るぎない根拠を明らかにすることが重要だという。

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IREのダグ・ハディックス事務局長=米南部フロリダ州オーランドで長野撮影

他にも、情報源が匿名の場合は複数示すなどの変化がある。トランプ氏の登場以前からメディア離れは始まっていたが、「トランプ・ショック」はメディアが前向きな変化を起こすきっかけになっている。(ロサンゼルス支局 2018年8月)

 

 

 

 

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