アマゾンの街シアトルの光と影 ロサンゼルス・長野宏美

ロサンゼルス長野 (2)

5月初旬、米西部シアトルを訪れた。中心部の通りを歩くと、おしゃれなカフェが目立つ。さすが、スターバックス発祥の地だ。シアトルはアマゾン本社もあり、IT企業も多い。ジーンズなどカジュアルな服装の若い世代がカフェでパソコンに向かう姿を多く見かけた。

アマゾン本社の近くには同社のレジなしコンビニ「アマゾンGO」がある。今年1月に開店した。近未来を先取りするような店は「観光地」になっているようで、買い物体験に来た観光客がひっきりなしに店の前で写真を撮っていた。

専用のアプリを携帯電話にダウンロードし、駅の自動改札のような入り口にバーコードをかざして入店した。広さは約170平方メートル。チキンサンドイッチが6・99ドル(約770円)、ミネラルウオーター(500ミリリットル)が0・49ドルなど、飲み物や弁当などが項目別に並んでいる。酒コーナーでは年齢を確認する店員がいる。

普通のコンビニと変わらないが、レジで精算不要なので、買い物かごがない。店内にあるエコバッグや自分のかばんに直接、品物を入れて店を出る仕組みだが、まるで万引きのような気分になる。天井に張り巡らされたセンサーやカメラなどで誰が何を買ったか認識するという。

チョコレート4点などをかばんに入れて外に出ると、間もなく携帯電話に領収書が送られてきた。店内には7、8人の店員がいて普通のコンビニよりも多い印象だ。同社の説明によると、レジ係の代わりに商品の案内などに人を振り分けられるというが、「雇用を奪うのでは」という懸念も出ている。

店の周辺では建築中の建物をあちこちで目にした。アマゾンなどIT企業で働く人向けの住宅建設ラッシュだという。配車サービス「ウーバー」の運転手リタ・リッセンビーさん(52)は「スキルが高く、高給な人が全米や世界中から集まってくる。その影響で住宅価格が高騰し、もともとシアトルに住んでいた人が住めなくなっている」と語った。ホームレス人口は全米で3番目に多く、深刻な問題になっている。AP通信によると、昨年は年間169人のホームレスの死亡が市内で確認された。便利さと共に急速に変化する街の光と影を感じた。(ロサンゼルス支局 2018年7月)

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