「トランプ・ファースト」 ロンドン・矢野純一

ロンドン矢野英国人の多くはトランプ米大 統領を毛嫌いしているようだ。普段から米国人の振る舞いを「がさつだ」と評し、米国式の英語の発音をバカにする英国人には、トランプ氏は典型的な「嫌な米国人」に映るようだ。

トランプ氏は7月に大統領として初めて訪英する。訪英の噂の段階から、ソーシャルメディア上には反トランプの書き込みがあふれている。ロンドン中心部では訪英に合わせて、すでに抗議デモが計画されており、約5万人が参加の意志を示している。

英国の元外交官は「トランプ氏のキャラクターは英国人には絶対、受け入れられない」という。「『アメリカ・ファースト』を掲げているが、独善的で『トランプ・ファースト』と理解した方が分かりやすい」と話す。

トランプ氏は、イランの核合意から離脱を表明し、欧州連合(EU)の鉄鋼・アルミニウム製品に高い関税をかける輸入制限を発動。隣国のカナダやメキシコに対して「北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉ができなければ脱退する」と脅しをかけるなど、「外交の常識を、ことごとく覆している」と批判する。

政策だけでなく、生理的にも受け入れる事ができないという。関係を持ったポルノ女優への口止め料の支払いや、「スターなら(女性に)何でもできる」とした女性を蔑視する過去の発言、身振り手振りを交えた演説も「不快だ」という。

メイ英首相が不快感をあらわにする場面もあった。トランプ氏が昨年11月に反移民を支持するようなリツイート(転載)をした際に、会見で「間違っている」と真正面からトランプ氏を批判した。

米朝首脳会談が6月12日に行われ、トランプ氏は会見で成果をアピールした。元外交官はトランプ氏にとって都合の良い内容で、拉致問題や中距離弾道ミサイルの解決などを求める日本の要求は今後の交渉で反映されないだろうと予測する。

「歴史をひもとくと貿易や経済の争いが戦争の引き金になったこともある。現代社会ではあり得ないかもしれないが、トランプ氏の言動や政策に怖さを感じる」と話す。(欧州総局 2018年7月)

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