シンガポール 繁栄の足元で 上海・工藤哲

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史上初の米朝首脳会談という歴史的な現場となったシンガポール。会談を控えた6月上旬、アジア安全保障会議(シャングリ ラ・ダイアローグ)の取材で訪れた。会談の際に出入りが規制されたセントーサ島にあるホテル「カペラ・シンガポール」周辺や「シャングリラ・ホテル 」などを歩き、毎回日本の2倍近い値段の食事をしながら、改めて繁栄ぶりを見せつけられた。

そんな中、6月1日付の現地中国語紙「聯合早報」の見出しに目を奪われた。「過去年で、国民はますます不快になっている」という意識調査だ。シンガポール国立大学が年月~年2月、歳以上の1503人を対象にしたもので、「楽しさ」「生活の享受」「成就感」が前回調査(年)からそれぞれポイント前後も下落していた。

2016年時点で、シンガポール人にとって満足度が高いものとしては①安全と治安②得られる公共サービス③法執行の質④教育の質⑤公共交通の便利さ――を順に挙げている。

一方で不満が強いのは①車関連の負担②家賃の負担③生活費④シンガポール人と外国人の比率⑤医療サービスの負担――の順だという。ある歳の主婦の話として「夫が家族4人の生活を支え、最も大変なのは生活費。物価がどんどん上がり、新たな家に引っ越す前に改修も必要で、旅行や外食も控えなくてはならない」と伝えていた。

また多くの人は、政府を批判できず、言論が制限されていることにも前回より不満を募らせていた。(当局の)不正を問いただしたり、制度の透明性を求めたりする声は強まっているという。

投資会社に勤めるシンガポール人の友人に聞いてみた。「駐車場の料金がますます高くなって、公務員は車での通勤が難しくなった。格差もどんどん広がっている。いい生活をしているのは一部だけよ」と彼女もあきらめ顔だ。

新聞広告には、換算で700万円近い日本メーカーの新車などが紹介される。菓子パン1個も150~250円ほど。いずれも日本では信じがたい高さだ。ここで楽しく生活するには、相応のコストと忍耐が必要なのだろう。「住んでみたい」と一度は思った国だが、今やそう簡単ではなさそうだ。(上海支局 2018年7月)

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