東北新幹線と中国人 上海・工藤 哲

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訪日中国人が中国からスマートフォンアプリを使って東北新幹線を含む周遊パスを直接予約する。そんなサービスが4月に始まった。中国のオンライン旅行大手、携程旅行網(シートリップ、本部・上海市)とJR東日本の幹部が4月12日に上海市内で記者会見し、協力協定を結ぶと発表した。東北地方への観光を後押しする狙いだ。

中国では毎年1・5億人が国外を旅行し、日本は毎年のように行き先の上位だ。大多数がシートリップのアプリで宿泊などのサービスを予約するが、日本も例外ではない。2017年の訪日外国人旅行者は2869万人で、シートリップの利用者は延べ861万人に達し、3人に1人の規模だ。

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協力協定を締結したJR東日本の赤石良治常務取締役(右)と携程旅行網の李小平・高級副総裁=2019年4月12日、上海市内で工藤哲撮影

JR東日本の赤石良治常務取締役は調印式で「18年は訪日外国人が初めて3000万を超えたが、800万を上回ったのは中国が初めてで重要マーケットだ。シートリップのパワーと知名度を生かし、手を取り合いたい」と語った。

一方でシートリップグループの李小平・高級副総裁は「全世界3億の利用者にサービスを提供している。日本の7都市で8事務所を開設し、10カ所近い都市と協力関係にある」とし「中国は鉄道網がどんどん建設され、人々は列車での観光に慣れてきた。高速鉄道を活用した観光促進には潜在力がある。JR東日本は鉄道を利用して地域の観光に寄与する経験をたくさん持っている」と期待を示した。

シートリップにとっての大きな関心は、JR東日本が持つ鉄道観光開発のノウハウだろう。中国各地では高速鉄道の駅が次々に建設されているが、売店に並ぶ品々なども日本より単調で「楽しむ」感覚が乏しい印象だ。鉄道は元々軍との関係が深く、開放的ではないイメージが強い。

だが、こうした見方も変わりつつあるようだ。中国メディアは昨年、中国の鉄道にも緑や青の車体が登場し「色彩はさらに豊富になり、現代感を備えた」と伝えた。中国の高速鉄道と言えば白い復興号をイメージするが、色鮮やかな日本の鉄道を意識し始めているのかもしれない。

今回の協定で、中国から日本の東北への旅行者が増えるのは確実だ。長期的には中国の鉄道や駅、観光旅行はさらに日本に似てくるのかもしれない。(上海支局 2019年6月)