ホームゲーム外交 北京・浦松丈二

北京浦松中国が「ホームゲーム外交」と命名された新たな外交戦術を繰り広げている。中国語で「主場外交」。「主場」とはチーム本拠地を意味する中国のスポーツ用語だ。反対語は不利な敵陣、アウェイを意味する「客場」。いかにもサッカー好きの習近平国家主席が喜びそうな命名である。

「今年の中国外交の注目点は主に四つのホームゲームに体現される」。今年3月の記者会見で中国外交の注目点を質問された王毅外相が目新しい言葉で外交方針を説明し、広く知られるようになった。
王氏が今年のホームゲーム外交と位置付けたのは、4月に海南島で開催されたボアオ・アジアフォーラム(海南省)▽6月に青島(山東省)で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議▽9月に北京で開く中国・アフリカ協力フォーラム首脳会議▽11月に上海で開く中国国際輸入博覧会の計四つだ。

記者会見の際は、国際会議の自国開催をホームゲームと言い換えた程度と理解していた。その不覚を悟らされたのは、2カ月後の5月、中国北部・大連で行われた習氏と金正恩朝鮮労働党委員長による2回目の中朝首脳会談だった。中国中央テレビのニュース映像は、改革・開放政策によって発展した大連を案内する習氏と教えを請うかのような金委員長の師弟構図を延々と演出した。

中国の頭越しに南北、米朝の対話が始まり、朝鮮半島での影響力を失いたくない中国は北朝鮮をつなぎ留めておきたいと思っている。海を挟んで北朝鮮と向かい合う大連は、中国の重要性を金委員長に再認識させる格好の舞台である。これも地の利を生かしたホームゲーム外交の一つだろう。

中国は北朝鮮だけでなく、昨年秋に国境紛争が再燃したインドに対しても、モディ首相を内陸部の拠点都市・武漢に招き、習氏が一緒にボートに乗るなど2日間に渡って首脳会談を繰り広げた。訪中したロシアのプーチン大統領とは、北京から一緒に高速鉄道に乗り、天津でアイスホッケーの試合を観戦している。ホームゲーム外交には、国際会議の主催だけでなく、北朝鮮、インド、ロシアなど隣国首脳の地方招待も含まれる。日本の首相がいつ、どこに招かれるかも気になるところだ。(中国総局 2018年7月)

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