アジ研・マイナビ(1)
完成した新校舎前で、竣工式に出席したマイナビ本社の工藤真
一専務取締役らと記念写真に収まるウードゥー村の生徒たち

ミャンマー最大都市ヤンゴンの郊外にあるタイチー郡ウードゥー村の学校に昨年、日本の大手情報サービス企業「マイナビ」の支援で、新たな校舎が建設された。竣工式には生徒や教師のほか多くの地元の住民も参加し、新しい教室の完成を祝った。

マイナビはCSR(企業の社会的責任)の一環として、さまざまな問題で十分な教育を受けられない子供たちに教育の機会を提供しようと2005年から、当期最終利益(純利益)の1%を拠出する「世界の子供教育基金」を積み立てている。2016年に「一般財団法人マイナビ世界子ども教育財団(以下マイナビ財団)」(代表理事・中川信行マイナビ代表取締役社長)を設立し、その最初の事業として、ミャンマーでの教育支援を計画。ヤンゴン教育省と相談の上、現地調査を重ねてウードゥー村にある高校の校舎建設を決めた。

授業に集中できる立派な校舎を

村はヤンゴン中心部から北に約70キロ。住民の多くは農業のほか建設業や小売などの自営業で生計を立て、ヤンゴンまでバスで約3時間かけて長距離通勤する人もいる。村の学校では日本の小学校から高校に当たる約500人が学ぶが、高校は正式には政府に認可されていない「準高等学校」だ。

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竹の骨組みにトタン屋根で、雨風もしのげない状態だった仮設校舎

ミャンマーでは高校の最終学年に「セーダン」と呼ばれる共通卒業試験が実施され、その結果次第で、大学に進学できるかどうか、また、どの大学のどの学科に進学できるかが決まる。その後の人生を左右する重要な節目だが、「ウードゥー準高校の校舎は、竹で組んだ骨組みにビニールシートやトタンの屋根で雨をしのぐ仮設の建物。訪れた時はちょうど雨期で、床は土間で雨でどろどろ。トタン屋根に雨が当たる音がうるさく、共通試験を控えた大事な時期の生徒たちが学習に集中できる状態ではなかった」。同財団事務局長の児嶋祐佳(ゆうか)さんは話す。

児嶋さんは村長をはじめ村の人たちと話し合いを持ち、村の教育への「熱意」を探った。「学校はゴミの散乱もなく、きちんと運営されていた。これならば校舎を建てれば大切に使ってもらえるだろう」と、世界の子供教育基金から約400万円を拠出し、高校の校舎を建設することを決めた。

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完成した新校舎の明るい教室

地元の業者に委託し、約3カ月の工期で50人が学ぶことができる教室3室を備えた校舎が完成した。教室で使う黒板や机、いすなども寄贈。机といすはミャンマーで一般的な4人が並んで座るものではなく、グループでの討論など多様な授業が可能になる2人がけのものを導入した。

3月に行われた竣工式には、児嶋さんと財団事務局員の古川裕美さんのほか、東京からマイナビの工藤真一専務取締役も出席。地元側は村人総出で出迎え、子供たちが踊りを踊って新しい校舎の完成を祝った。

11月にも校舎の使用状況を見に現地を訪れた児嶋さんは、「例えば子供たちに『日本を知っている?』と聞いても、日本製の車など漠然としたイメージしかない。せっかくだから日本のことも知ってもらいたく、日本語のアクティビティや授業をやることなども計画しています」と話す。

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踊りを踊って新校舎の完成を祝う学校の
生徒たち
教育で貧困を解消

マイナビ財団ではもう1校、同国東部シャン州の山あいにあるチャンキンミョウ村の準中学校の校舎建設も支援した。住民にも学校にきちんと関わってもらうために、労働奉仕など建設の一部を村に協力してもらい、マイナビ財団は約300万円を支出。村では電気は通じているものの不足しており、学校には近くから水路を引き小型の水力発電機も設置。学校で使う電気のほか、村で使う電気の一部もまかなえるようにした。

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完成したチャンキンミョウ村の準中学校
の校舎

子供教育基金は、「貧困は教育を通して解決していくしかない」との思いからスタート。今年もマイナビ財団を通して、ミャンマーで3校の校舎建設を支援する計画だ。マイナビから出向し、マイナビ財団の業務で初めてミャンマーを訪れたという児嶋さんは「暑い国なのに教室に冷房なんてないし、雨が降ればうるさい。それでも子供たちは授業に集中し、勉強しようという強い意欲を感じる。今後も、教育への熱意が強く、自分たちで何か取り組んでいる地域を探して、サポートしていきたい」と話す。【毎日アジアビジネス研究所、写真はマイナビ世界子ども教育財団提供】