7月9日、

樋口前大使発言要旨

0709樋口さん懇談--アウンサンスーチー氏とロヒンギャ問題

思い込みの激しい国際社会やメディアは、スーチーさんが変節したとか、国内で身動きが取れない状態になっているとか言うが、彼女は1ミリも変わっていない。スーチーさんとは政権を取る前から間断なく身近にお会いしてきたが、今回のロヒンギャ問題については、彼女は国民と一緒に憤慨している。とんでもない事実誤認だ、なぜミャンマーが非難されるのか、と。

植民地以前から続く歴史的にも難しいこの問題に、(ミャンマー)政府の対応に問題があったから、それが隙になって、ロヒンギャの過激グループに付け込まれた。改めてこの問題に正面から取り組もうと、彼女は国民に声明を出して呼びかけた。この機会にやるべきことをやろう、と。何をやるかというと、インフラ整備です。水道や電気、小学校や保健所。ロヒンギャの生活は行政サービスの外に置かれてきた。遅まきながら、あらゆるものの整備をいまからやろうよ、と。国民も財閥も協力してくれ、と。今、道路建設や送電線の延伸も進んでいる。

--ロヒンギャ問題は企業活動に影響するか?

この問題を非難することは、生産的でなく、意味がない。冷静に、何が起きているのかを事実に即して見ていく必要がある。今、ミャンマーに投資すること、進出することに、ロヒンギャ問題が与える実務的なリスクがあるか? 私は、限りなくゼロだと思っている。悲惨な状況に置かれている人たちはおり、人道、人権上の支援は必要だ。それと、ミャンマーへのビジネス展開とはまったく別の問題。唯一、リスクになりうるとしたら、ラカイン州のバングラデシュ国境沿いで起きたテロが、ヤンゴンとかマンダレー、ネピドーといったその他の地域に広がると不安定化する。しかし、結論から言えば広がらない。他の地域には、テロのインフラがない。

二つ目のリスクは、ミャンマーに対する経済制裁が復活すること。しかし、制裁は復活しません。米国は一昨年と昨年のテロの後、制裁を一部復活させたが、そこは慎重に、軍関係の、ビザに絡んだ制裁に止めている。いわいる経済制裁は復活させていない。米国も、真の民主政権である国民民主連盟(NLD)政権を追い詰めてはまずい、という明確な判断がある。ロヒンギャ問題はビジネス展開上の話題にはなっても、実際のリスクになることはありません。

--軍部のスーチー政権への影響は?

ありません。ミャンマー軍はしっかりした抑制の取れた組織です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--毎日アジアビジネス研究所への期待

企業の海外展開は社運をかけて行う真剣勝負。毎日アジアビジネス研究所は、『こういう分野の、こういう案件どうだろう?』という企業の問いかけに、注文生産的に応じる組織であってほしい。

ミャンマーの政府も経済界も、日本企業に来てもらいたい、日本企業と組みたいと心底から思っている。中小企業も同じで、日本の同じような中小企業の経営者と巡り会って信頼関係を結び、ミャンマーを舞台に事業を展開したいと願っている。しかし、現状ではミャンマー側の片思いで、著しくバランスがとれていない。日本の中堅・中小企業は東南アジアに進出しなければとは思っても、ミャンマーに出て行くすべを知らない。その水先案内役を引き受けることも、研究所に期待される役割だ。