バックナンバー(テスト版)一覧

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2018年2月26日配信

  • 「中国」に学ぶミャンマー経済回復への処方箋

シードアウンミン=ビルマ人ジャーナリスト

ミャンマーは2015年にアウンサンスーチー氏率いる NLD(国民民主連合)政権が発足して以降、経済は低迷し、ビジネス界の政権への信頼感も大幅に低下した。そうした中、ミャンマー経済の「離陸」に向けて、テインセイン前政権時代に大統領の首席経済顧問を務めたウミント氏が有益な提言をしている。中国の最高指導者だった故・鄧小平の政治・経済哲学も参考にしており、ス ーチー氏はこれに耳を傾けるべきだろう。

ミャンマー観光業への参入、その目のつけどころ

シードアウンミン=ビルマ人ジャーナリスト

ミャンマーを訪れる外国人観光客は2014年をピークに減少傾向にある。しかし、ミャンマーの観光産業はまだまだ未発達で、その分、潜在的な可能性は計り知れない。ミャンマー政府が観光業育成にどの程度本気になるかにも左右されるが、ビジネスチャンスは無限に広がっているとも言えるのだ。

2018年1月30日配信

  • ダッカ人質テロ事件とロヒンギャ問題--日本人はなぜ犠牲になったのか(上~下)

金子淳=毎日新聞ニューデリー支局長

バングラデシュの首都ダッカで2016年7月に発生した人質テロ事件は、日本人7人を含む22人が殺害される惨事となった。犯行声明を出したのは、過激派組織「イスラム国(IS)」。穏健なイスラム教徒が多く宗教対立が比較的少ないと言われてきたバングラだが、この事件は水面下で過激主義が広がっていることを強く印象づけた。あれから1年半。これまでのところ、大規模なテロ事件は起きていないものの、過激主義が根絶されたかは疑問が残る。事件の背景や最近のロヒンギャ難民流入などを掘り下げ、バングラの治安情勢を考えたい。

バングラデシュの首都ダッカで起きた人質テロ事件を起こした地元過激派組織「ネオJMB」。その実態は過激派組織「イスラム国(IS)」とのつながりがあるとみられ、ISへ送り込まれた過激派メンバーもいた。バングラでは事件後、警察の取り締まりが強化されネオJMBは弱体化しているが、ISの過激思想を根絶するのは不可能に近い。若者がISの思想に染まる危険は常にあり、今後も「グローバル・ジハード」を追求する過激主義者が出る恐れは捨てきれない。

バングラデシュの首都ダッカで人質テロ事件が発生してから約1年後、バングラ南東部コックスバザールには多数のロヒンギャ難民が押し寄せた。現地ではロヒンギャ難民の人口が一気に100万人近くまで膨れあがったとも言われ、地元経済に大きな影響を与えている。武装組織の戦闘員が潜伏しているとの情報もあり、治安への懸念も高まっている。バングラの過激派の現状や治安情勢を見ていくには、難民問題についても注視していく必要がある。

  • 中国はなぜ、ラカイン危機でミャンマーを支持するのか

シードアウンミン=ビルマ人ジャーナリスト

ミャンマー西部ラカイン州北端部から隣国バングラデシュにベンガル系イスラム教徒「ロヒンギャ」が大量に逃れた問題をめぐり、米国は2017年12月21日、ロヒンギャ武装組織の掃討作戦を指揮したミャンマー国軍の現地司令官に対し、ロヒンギャ問題では初めての独自制裁を発表した。これに対し、中国はミャンマー国軍への支持を表明するなど、ミャンマー寄りの姿勢を鮮明にしている。いくつかの背景を指摘したい。

  • 日本の中古車輸入禁止でミャンマー自動車市場はどう変わる?

シードアウンミン=ビルマ人ジャーナリスト

ヤンゴンの道路を埋め尽くす日本から輸入された中古の小型乗用車。ミャンマーの道路交通は日本とは逆の右側通行だが、右ハンドルのまま使用されている。だが政府は2018年1月から、左ハンドル以外の自動車の輸入を禁じる新たな輸入規制を導入、ミャンマーの自動車市場は激変しようとしている。

2017年12月28日配信

  • 有機農業で日本企業とミャンマー農家のマッチングも

柴田京子=「地球市民の会」ミャンマー代表

ミャンマーの最大都市ヤンゴンに、有機栽培による野菜や果物などを販売している店「グリーンヒル(Green Hill)」がある。実質的な運営主体は、東部シャン州で栽培農家を組織化している日本の認定NPO「地球市民の会」(本部・佐賀市)だ。有機栽培に関心を持つ現地農家と日本企業のビジネス・マッチングも始めている。柴田京子(42)・ミャンマー代表にこの国の農業事情や「食の安全」について聞いた。

  • かたずを飲んで待つコンドミニアム法の運用開始

山岡寛和=ジェトロ・ヤンゴン事務所長

ミャンマーの経済成長は、2016年のアウンサンスーチー政権発足以降、減速気味である。さまざまな理由を列挙できるが、その一つとして、ヤンゴン管区で導入された自動車の総量規制など新たな政策がある。ただそうした中で、16年成立の新投資法

(17年4月に本格運用開始)に続いて、2017年12月には新会社法が成立し、外資のビジネス領域が広がる可能性が高まっている。まもなくとみられるコンドミニアム法の運用開始も明るい兆しの一つだろう。

2017年12月21日配信

  • ミャンマーの新国際空港「ハンタワディ」計画は実現するか?(上~下 )

春日孝之=毎日アジアビジネス研究所

ミャンマーで2016年にアウンサンスーチー政権が発足して以降、休眠状態だった新たなハブ空港の建設計画が「再起動」した。場所は、旧軍政が候補地として決めていた「ハンタワディ」である。しかし、最大都市ヤンゴン北方約80キロメートルに位置するという利便性の悪さや事業費の財源問題もあり、計画はなかなか前進しない。そんな中、ここにきてヤンゴン川対岸の「ダラ」での建設構想も浮上。既存のヤンゴン国際空港をさらに拡張する案も出て、「新国際空港の誘致」をめぐり三つどもえの争いとなっている。

ミャンマーの新国際空港「ハンタワディ」プロジェクトがなかなか進まないのは、日揮が主導する企業連合側だけにあるのではない。根本的にはむしろ、ミャンマー側にある。国家戦略の中で新国際空港をどう位置付けるかが明確でないうえに、アウンサン

スーチー政権内で「ハンタワディ」実現に向けて発足した運営委員会にも深刻な亀裂が生じているのだ。

ハンタワディ新国際空港の実現を目指すミャンマーの運輸・通信省幹部は、NLD(国民民主連盟)の若きホープが打ち上げた

「クンチャンゴン誘致」構想を「それはない」と否定に躍起になっている。実際、ハンタワディに対抗する一番の「強敵」は現在のヤンゴン国際空港だろう。この空港の拡張工事を進めてきたミャンマーの大手建設会社「アジア・ワールド」は最近、年間の処理旅客数を「2000万人まで可能」と主張している。新国際空港をめぐる一連の経緯を見つめてきたある外交官は「アジア・ワールド社がハブ空港としてのヤンゴン国際空港の地位を『はい、分かりました』と、簡単にハンタワディに引き渡すわけがない」と言い切る。

2017年12月11日配信

  • スーチー政権が政策決定で「機能不全」に陥る理由

工藤年博=政策研究大学院大学教授

ミャンマーでアウンサンスーチー氏が国家顧問に就任(2016年4月)し、政権のかじ取りを始めて1年半余りが経過した。しかし、テインセイン前政権に比べても、政策決定のプロセスがよく見えないばかりか、国家的な政策もほとんど打ち出せずにいる。スーチー政権がなぜ、そうした「機能不全」に陥るのか?

  • ミャンマー経済が「停滞」を脱却する処方箋

山岡寛和=ジェトロ・ヤンゴン事務所長

ミャンマー経済の成長への潜在力は極めて高い。しかし、アウンサンスーチー政権になって外国の直接投資は順調に伸びているものの、経済活動は停滞気味だ。この停滞感を脱却するには何が必要なのか。一つは、認可された投資を着実に事業化し、ミャンマー投資への信頼度を高めることである。

  • スーチー政権が抱えるリスク要因とナショナリズム

中西嘉宏=京都大学准教授・ヤンゴン大学客員教授

ミャンマーのアウンサンスーチー政権をめぐるリスク要因を考える時、政権と国軍の関係がどうなっているのかを、まずは踏まえておく必要がある。その上で、軍事クーデターやテロの可能性、ナショナリズムの行方やロヒンギャ(ベンガル系イスラム教徒) 問題の今後について考えたい。

  • 「点」の情報を「面」にする熟達の分析に期待する

樋口建史=駐ミャンマー日本大使

2017年10月29日、毎日アジアビジネス研究所がミャンマー最大都市ヤンゴンで開催した「アジアフォーラム ミャンマーセミナー」(駐ミャンマー日本大使館後援)で、異色の警視総監出身である樋口建史大使が挨拶した。「情報」の重要性を実感してきた大使は、「点」の情報を確度の高い「面」の分析としていかに昇華させることができるか、その難しさと専門性、有用性を強調した。

  • 船頭なき対ミャンマー政策 米国のミャンマー人脈 政府編

及川正也=毎日新聞論説委員・外交安全保障政治担当

オバマ米前政権のアジア政策を象徴した「ピボット」(Pivot=軸足移動)は、欧州や中東に偏重していた米国の外交政策を軌道修正する試みだった。2011年11月に発表されたこの方針は「リバランス」(再均衡)と呼ばれたが、その狙いはアメリカ外交

を「バランス化」させることだった。ピボット立案者の一人で、ヒラリー・クリントン国務長官の下で東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めたカート・キャンベル氏が自著「THE PIVOT アメリカのアジア・シフト」の中で、クリントン外交の成果の筆頭にミャンマーとの国交正常化を挙げている。そのピボット表明から6年。対ミャンマー政策はどう変わってきたのか。

2017年10月26日配信

  • ヤンゴンでテロは起きるのか? ロヒンギャ武装組織の研究(上~下)

春日孝之=毎日アジアビジネス研究所

ミャンマーで国際的な耳目を集めるロヒンギャ問題が、近い将来、この国に進出もしくは進出を検討している外国企業に深刻な影響を与えるのか? 企業の多くがミャンマーの今後の政情を漠として楽観視しながらも一抹の不安を覚えているであろう、そんなテーマを取り上げたい。今回の混乱は、今年8月25日にバングラデシュ国境に接するミャンマー西部ラカイン州北端部で、ロヒンギャ(ベンガル系イスラム教徒)の武装組織が警察や国軍の施設を同時多発的に襲撃した事件が発端となった。その組織について、指導者やネットワーク、背後関係を探り、その回答に迫りたい。

ロヒンギャの武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍」の指導者アタウラとは、どんな人物なのか。その背後関係をたどると、国際テロ組織アルカイダを生んだ、イスラム教スンニ派の厳格な一派「ワッハーブ」を信奉する関係国の武装組織と一本の線でつながってくる。

ミャンマー仏教徒の「ロヒンギャ嫌い(憎し)」の感情は、なにも人種的、宗教的な差別という側面だけではない。ロヒンギャ指導者たちの、ミャンマーからの「分離独立」志向に対する抜きがたい不信と嫌悪も同居している。武装組織の犯行声明にある「植民地軍を追い払う」という文言は、ミャンマーの仏教徒たちの反感を増幅させたに違いない。

  • ロヒンギャ(ベンガル系イスラム教徒)難民が大量流出した理由

シードアウンミン=ビルマ人ジャーナリスト

ミャンマー西部ラカイン州から隣国バングラデシュへのロヒンギャ(ベンガル系イスラム教徒)難民の大量流出が、大きな国際ニュースになっている。難民の流出と帰還は旧軍事政権時代から繰り返されてきたが、なぜ今回は数十万人というレベルにまで膨れ上がったのか? ロヒンギャ武装組織(テロリスト)への国軍のかつてない規模の掃討作戦も、その理由の一つである。

  • 米国のミャンマー人脈 議員編

及川正也=毎日新聞論説委員・外交安全保障政治担当

米国政治において、政権交代のたびに政策が大きく転換するのは珍しくない。とくに前の政権が失敗した外交政策でのフリーハンドは絶大だ。オバマ政権(2009年?17年、民主党)は米国の世界的な影響力を弱めたという批判もあるが、ブッシュ政権(0

1年?09年、共和党)の方針をがらりと変えて成功した外交政策がいくつかある。その代表例が、経済制裁の解除をテコに民主化路線に導いた対ミャンマー政策である。政府や議会の要人ら「オール・アメリカ」で成し遂げた。

2017年10月16日配信

  • 銀行でドルが自由に買える日

久保公二=ジェトロ・アジア経済研究所研究員

ミャンマーに進出した外国企業が戸惑うのは、ミャンマー・チャットで得た収益を、必要な分だけ、自由にドルに替えて本国に送金できないことである。外国為替制度はテインセイン政権下で改革が進んだものの、まだまだ「非公式な外貨取引」が続いてい

るからだ。この状況を変えるには、地場の金融機関の「既得権」という壁が立ちふさがるが……。

  • ロヒンギャ問題があぶり出す「2つの権力」

春日孝之=毎日アジアビジネス研究所

国際社会の耳目を集める「ロヒンギャ(ベンガル系イスラム教徒)問題」が、ミャンマーでの企業活動のリスク要因として浮上している。この問題に関して強調したいのは、国連や海外メディアがロヒンギャを擁護し、スーチー政権や国軍、加えて、ロヒンギャと対立する仏教徒のラカイン族を批判すればするほど、解決への道筋がより難しくなるということだ。一方で、この問題を通してミャンマーの、「2つの権力」の存在がより鮮明化している。企業活動には双方に対する目配り、気配りが欠かせない。

  • なぜスーチー政権が「決められない政治」に陥るのか

春日孝之=毎日アジアビジネス研究所

アウンサンスーチー政権下でのミャンマーの経済全般は、テインセイン前政権時代に比べ、「失速」とは言わないまでも「停滞」している状況にある。その要因の一つは、スーチー政権下での「決められない政治」だ。法整備がなかなか進まない上に、経済成長に向けた中長期的なビジョンやマスタープランも示されない。

  • ポスト・スーチー」に備えて何をすべきか

春日孝之=毎日アジアビジネス研究所

ミャンマー最大のリスクは、「ポスト・スーチー」だ。国民の圧倒的支持を得て政権を獲得したアウンサンスーチー氏が急逝した場合、あるいは健康状態の悪化もしくは事故などにより政策決定に関与できなくなった緊急時に、スーチー氏の「個人商店」である国民民主同盟(NLD)がどうなり、ミャンマー情勢がどう動くか、という課題だ。流動的で不確定な要素があまりにも多く、予測はほぼ不可能だが、スーチー氏を中心とする人的ネットワーク、NLD内の人物相関を最低限は捉えておく必要はあるだろう。

  • ミャンマーでなぜ、中国のプレゼンスが高まるのか

春日孝之=毎日アジアビジネス研究所

今回のロヒンギャ問題を契機に、指摘しておきたいのが、ミャンマーで中国のプレゼンスが高まる可能性があることだ。ロヒンギャ問題で国連安保理が対ミャンマー非難決議を採択する動きに出ても中国は一貫して、ロシアとともにミャンマー政府の擁護に回り、ミャンマーに「恩を売り続けている」形になっているからだ。その意味で、中国にとってロヒンギャ問題は、ミャンマーでの「失地」を取り戻し、巻き返しを図る千載一遇のチャンスとなり得る。その観点だけで見ると、日本は割を食うかもしれない。

 

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