ネパールのプラディップ・クマル・ギャワリ外相は月日、東京都渋谷区の国連大学で開催された「ネパール投資セミナー――ビジネスポテンシャルはエベレストを越えて」(主催・駐日ネパール大使館)で講演し、同国の政治・経済情勢を説明しながら日本から投資を呼びかけた。外相は日本・カトマンズ直行便運行が決定したのを機に、エネルギー、健康、観光、製造、インフラ分野を中心とする投資メリットなどを話した。【毎日アジアビジネス研究所】

土地取得など投資メリット

外相演説
講演するギャワリ外相

冒頭、ギャワリ外相は「不安な政治の混迷は過ぎ、平和と安定の時代になった。開発と繁栄に向けて2030年には中所得国になることを目標にしたい」と抱負を語った。

外相は「日本の官民からの投資や技術協力をお願いしたい」と述べ、ネパールの投資促進措置として次の5点をあげた。

(1)ネパールに設立された会社名での土地取得が認められている。政府の土地を借りることができる。

(2)ネパール投資庁など投資承認機関の推薦を受けた外国人労働者のためのツーリスト、非ツーリストおよびビジネスビザの発行。

(3)居住ビザは、外貨で10万ドル以上を投資する投資家に直接発行される。

(4)一部の例外を除き、ほとんどの部門で100%の外国人所有権。

(5)企業利益すべての本国送金が認められている。

経済特区と保税倉庫制度

さらに、輸出促進のため商業省経済特区庁が管理する経済特区(SEZ)が2013年にスタートし、国内14カ所のSEZ設立が決定していることに言及。最初の5年間は所得税100%免除、その後の5年間は半額免除するとし、山岳地帯のSEZでは10年間にわたり所得税を全額免除するなどの措置をとるとしている。

ネパール投資庁は、SEZのうちバイラワ特区、シマラ特区のマスタープランを示しているほか、Damakなど工業団地や保税倉庫制度などの投資環境を準備している。

外相は、エネルギー、健康、観光、製造、インフラのほかに「海抜は59メートルから世界最高峰まであり、あらゆる作物が栽培できる」として日本の農業技術に期待を寄せた。

中印バランス外交

外相
インタビューに答えるギャワリ外相

一方、ギャワリ外相は20日、東京都内で毎日新聞記者の取材に応じた。日本政府が入管法を改正し、外国人労働者の受け入れ拡大を目指していることについて「(入管法の改正が)ネパール人が技能実習生ではなく、労働者として働ける機会となるのか注目している」と話した。外相は、日本政府が入管法の改正案で新たに2種類の在留資格を設けていることに言及。その上で、「ネパール人は勤勉で正直な人が多く、協調性もある。日本の労働市場を満足させることができる」と日本のネパール人労働者の受け入れに期待を示した。日本では現在、約8万5000人のネパール人が暮らしているとされる。

ネパールは伝統的に経済や貿易などの面でインドとの関係が深いが、2月に中国寄りとされるオリ首相が就任。中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」に賛同し、中国からの巨額のインフラ投資も受け入れている。インドは中国の南アジアでの影響力拡大を警戒している。ギャワリ外相は中国、インドとの関係について、「ネパールは二つの大国の間で常にバランスをとってきた。時に誤解はあるが、インドとの関係は良好で、中国との関係も同様に大切だ」と話した。

一方で、中国から巨額のインフラ投資を受けた途上国が、過大な債務を抱える可能性があることについては「資金を貸し付ける側の国が一方的に、その国の意向を押し付けるのであれば問題があるが、議論し、交渉できるのであれば債務危機を恐れる必要はない。その点については注意してみていくことが重要だ」と述べた。

外相セミナー●ネパール
首都:カトマンズ
人口:2872万人(カトマンズ盆地内に300万人)
面積:147,181平方キロ(日本の3分の1)
海抜:59~8848メートル(エベレスト)
宗教:ヒンズー教81.3%、仏教9.0%、イスラム教4.4%外貨準備高:100.8億米ドル
法人税:一般企業25%、ただしインフラ、道路建設は20%日本人会商工部会:40社(2018年7月現在)

【ネパール投資庁内ジャパンデスク】

+977-1-4475277 (内線209) Emai: Japandesk@ibn.gov.np

代表:玉田幹雄氏(JICA専門家)
担当:Rajiv SHAKYA氏 (コンサルタント)